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『蒼天の蝙蝠』感想(ネタバレあり)

ちっと出遅れましたが。
「へんふくまる」をつい「てんぷくまる」(分かる人いるかなぁ?)と読んでしまいそうになる。
とかそういう話はおいといて。以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクションがカッコイイっすね。語弊を承知で書くなら殺し方がカッコイイ。
絵になる。映画っぽい。
背後を守るはずの石灯籠の後ろから刺されるシーンとか、「気をつけろ」と言った先から殺されたりとか、アイロニカルですごく見せ方がカッコイイ。
牛様、「椿三十郎」とか「七人の侍」とか好きかしら?(見たことないけど)

全体的にアイロニカルというか、アンビバンレンツというか、ネガポジというか。
言葉が上手くみつからないけど、そういうのが主体なのかな? とかちょっと思ったり。
暗闇にしか住めない蝙蝠が、蒼天を望む事。
日和見の象徴と言える蝙蝠が、ただ1人に対しての忠臣である事。
そんな風に考えるとまた面白い。

そして。
確か、『鋼』にアニメ化の話が出た時、エドに「殺す」という言葉は言わせないで欲しいと牛様が言われたというのを聞いた事がある。確かに原作でもエドは「ぶっ飛ばす」「ぶっ潰す」とは言っても「ぶっ殺す」とは言わない。
唯一、ウィンリィをスカーから守ろうとした時、もしかしたら言いそうになったのかもしれないけれど、それはスカーの台詞でかき消されている。
対して、ロイが作り出す死体は人としての尊厳がない。焼け焦げた肉の塊になる。
そんな風に鋼では、人を殺す事に対し美化しない描き方をしているように思う。
例え組み手や戦闘シーンに武道としての美しさがあったとしても、そこから一歩を踏み込んだ先に美はない。『鋼』ではそういう描き方をしているのかなと思っていたので、ちょっと意外。
『鋼』が少年マンガなのに対し『蒼天~』はもう少し年齢層を上に設定しているからなのかもね。

千代鶴が鳥を助けた時、鳥が強く願ったから飛ぶ事が出来たという。
5年後の再会で、手を伸ばせばまた一緒に陽の下を歩けるという。
強く願う事を忘れるな、と。
こういう描き方好きだなぁ。
雪合戦のシーンとか可愛いよね。
石を入れると殺傷力があがるとさらっという蝙蝠丸に、それが悪い事だとは言わず素直意に驚く千代鶴とか。
寒くて鼻水垂らしてるくせに、蝙蝠丸に手袋を片方渡したりとか。
千代鶴と一緒にいる時、蝙蝠丸が幼い女の子に見える。
千代鶴っていくつなんだ? ガキの頃から、すんごい懐の深い奴だよなぁ。
家臣と領主という間が崩れるような関係にはならなそうなののが残念だけど。

と。
牛様らしくてすごく面白い話だったのだけど。
何かが物足りない。
歌猫さまも書いているけれど、序章のように読める。
前哨戦というか。うーん、首を洗って待ってろよ。みたいな?
なんでそう思ったのかなぁ、とつらつら考えてみたのだけど。
多分、伏線が少ないからなんだと思う。
牛様のストーリー作りの上手さは、ともかくもう伏線の貼り方がとてつもなく巧みなところにあるからだと思っているのだけど。
この作品にはその伏線が少ない。いや、正確には回収された伏線が少ない。
今回の話は、まるでプロローグとエピローグのようにみえる。
伏線を地雷のように埋めまくって任務完了、みたいな、そんな感じ。
この話を伏線に、間の5年間がこれから語られていくような。そんな期待を持たせる。
だから、読切りとしては、あれ? ここでおしまい? という気持ちになるのだと思う。
牛様の頭の中には、ちゃんとその5年間のストーリーが展開されているんじゃないかなぁ。
(何せ、『鋼』は最初読切りとして作ったものが、ここまで壮大なストーリーになったのだもの)
『鋼』が終わったら描いてくれないかなー、描いてくれないかなー。描いてくれないかなー。

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