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哲学者の月と鳩の関係について 鋼FA7話ネタばれ(原作ネタバレ含む)

鋼FA第7話に出てきた錬金術関係の用語について
調査結果だけを載せようかと思ったんだけど、それだと風が吹くと桶屋が儲かるくらいわけが分からないと思うので。
調べた経過を交えて。

緑の獅子
いわずと知れた「酸」の象徴。
緑の獅子(=酸)が太陽(=黄金)を喰らう図は「酸を使って金を溶かす」事から、錬金術そのもの差すと言われている。
錬金術師と緑のライオン参照
これはいいんですよ。これは。


哲学者の月
日本語で検索しても出てきません。なので「Luna philosophorum」で検索。

Luna
(From the Hebrew term lun, the night). See Argentum.
Luna philosophorum. See Antimonium. Lunare Os, (from luna, the moon ). The second bone of the first row in the wrist, because one of its sides resembles a crescent. See Carpus.
Lujula - Lutea Luteola参照

「See Antimonium」ってことなので「Antimonium」の項を見たらあったのは元素記号Sbの「Antimonium」でした。
Antimonium GOGOLE翻訳参照

ってことで調べ直し。

賢者の石の製法
 賢者の石を作る作業は「マグヌス・オプス(大いなる作業)」と呼ばれる。
 まず純化した「硫黄」と「水銀」を抽出する。これはら現実の物質とは異なり、あらゆる物質の基本的な要素となっている「哲学的な硫黄」と「哲学的な水銀」である。すべての物質はこれらの「硫黄」と「水銀」からできているのでどんな物質からでも抽出することが可能だが、もっとも頻繁に用いられたのは金と銀で、金から「硫黄」、銀から「水銀」が抽出された。
 純化は王と王妃とが浸りにくる泉の象徴によって表され、それで金と銀とが溶かされて、「哲学的な塩」が得られる。鷲は気化を意味し、大気または錬金作用で使われる酸のことであり、獅子を喰う鷲は、揮発物による不揮発物の気化のことである。また、緑の獅子は硫酸鉄(緑ばん)のことであり、太陽を呑む緑の獅子は、酸によって溶かされる黄金、狼に喰われる犬は、アンチモンによる黄金の純化の行程である。
 得られた「硫黄」、「水銀」、「塩」は一度結晶化された後で過熱され、分解される。そこで得られた残留物を、さらに酸によって溶かし、最後に残ったものを「哲学の卵」の中に密封し、そこで王と王妃の交合、つまり「硫黄」と「水銀」の結合が行われる。
 加熱の段階は「哲学的結婚」、「黒化(ニグレド)」、「白化(アルベド)」、「赤化(ルベド)」の四段階でなされ、点火と同時に「大作業」が始まる。
Zappedia参照

分かりづらいですよねー。でもとりあえず「アンチモン」が今回重要なので、詳しい賢者の石の作り方についてパス。
知りたい方は、こちらの方がたぶん分かりやすいかと。
錬金術(ヘルメス・トリス・メギストス)とキリスト教(カルメル山の聖母)参照

で、次に「狼に喰われる犬」でやっとここでたどりつくのが、件のラムスプリンク。
ラムスプリングという人物についてはこちらが詳しいです。
Lambsprinck参照

さらに。
ラムスプリングの「賢者の石について」の全文なのか抜き出しなのか分かりませんがこちらに掲載されています。
ほぼ同じものですが、1.は序文から掲載されていますが画像が粗く、2.は序文がなく画質はこちらの方が綺麗、3.は古文調の日本語で画像は2.と同程度ですが途中までしか無いようです。
1.Book of Lambspring infoseek翻訳
2.The Book of Lambspring infoseek翻訳
3.The Book Of lambsprink

一度ざっくり内容を読んで貰うと分かると思いますが、これまさに賢者の石の生成方法ですよね。

そんでもって。
Figure Vに、「A wolf and a dog are in one house, and are afterwards changed into one.」の絵があります。
「狼と犬はひとつ屋に、それらはひとつとなる定め」
これが例のアンチモン=哲学者の月を指しているって事なんでしょう。
白化とあるので、「白化(アルベド)」を指しているのでしょう。

でさらに、問題の鳩ですよ、鳩。

Figure VIII に出てきてますよ。
「Here are two birds, great and strong - the body and spirit; one devours the other. 」
「ここにいるは二羽の鳥、偉大なるもの強きもの、そは肉体と霊魂なり これらは互いに喰らいあふ」
2羽の鳥はやがて白い鳩になり、フェニックス(=賢者の石の象徴)になると書かれています。
これもおそらく「白化(アルベド)」を指しているようです。

てな事で。
あのシーンで、エドとアルが鳩料理に反応したのは、ラムスプリングの「賢者の石について」の中にまさに白い鳩が出てくるからって事だったって事でしょうね。

「緑の獅子、哲学者の月のことかもしれない」ってのはまさしくその通り。
哲学者の月=鳩=白化 の可能性を示唆していたわけですよっ。


でも。
こうやって、誰もがこんなバカな事を調べるとは限らないのに、読み解けるものをきちんと配置している処を見ると、決して本当に視聴者を小中学生にだけターゲットを絞って作っているわけじゃない。

大人の視聴者向けには、こうやって気がついて貰え無けりゃそれまでよ的、むちゃくちゃコアな伏線を張り巡らして、ここまで来れるものなら来てみろって言われてる気分になるんだよねー。この伏線を読み解けるなら読み解いてみろって。

ならやってやろじゃねーのってちょっと燃えてしまったよ。
あー、これでさらに感想に時間がかかることになりそうだわ。まいったなあ。

それでも。
私が鋼で一番好きなのは謎の解明だから。
そこに更なる深みを入れてくれるのは誰が喜ばなくとも私は大歓迎だわっ。

昔、何のマンガだったか、小説だったかもう忘れてしまったのだけど。

意味のないものは存在しない。物事には必ず意味がある。だからその意味を考えろ。

っていうような台詞があって(ちなみに「記憶鮮明」でも銀色夏生でも北村薫でもないです)。
これが結構未だに物事を考える時の基盤になっちゃってます。
「偶然」とか「ふいに」とか「なんとなく」とか「何も考えてなかった」とか。
うわべはそうだったとしても、そこにだってきちんと掘り下げてみれ必ず意味はある。

鋼FAの、今は無作為としか思えない、削除シーンや追加シーンにも必ず意味はある。
少なからずその気持ちがスタッフにあると、今回の事でそう思ったっ。
すごく期待してる。

頑張れ鋼FAスタッフっ。


余談。
ラムスプリングの綴りからちょっと思ったのだけど。
Lamb-spring。
羊の春。
リゼンブールでは、春に羊毛刈りのお祭りがあるんだよね。

そして。
ラムスプリングの「賢者の石について」の例の「Figure V」の狼と犬が、まるでホーエンハイムとお父様のようにも読め、「Figure VIII」の肉体と霊魂が互いを食らい合うは66の最期を思い起こさせる。

おそらく荒川先生もこの本読んでいるんじゃないかな。
あるいは、アニメスタッフにこんな資料を使ってますという話をしているのかも?

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