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鋼のこころのエドのこころ

原作を読んだ時からずっとエドの行為で理解出来なかった箇所があって。
「ずっと それを溜め込んでたのか? 言いたい事はそれで全部か」のシーンなんだけど。

とつ様も同じ事を書かれていたのを読んで。そういえばいつか書こうと思って、書き忘れてたな、と。
解説……になっているかどうかは不明ですが。

第4巻 第15話「鋼のこころ」。
自分は本当にアルフォンス・エルリックなのか。本当はエドが作った偽物なんじゃないかと詰め寄るアルに。
拳でテーブルを叩いて「ずっと それを溜め込んでたのか? 言いたい事はそれで全部か」。
黙ってしまうアルに、悲しんでいるとも悩んでいるともなんとも言いようの無い表情のまま「そうか」と言って屋上へと歩き出してしまう。

この時のエドの心理と行動原理ってのがどーにも理解出来なくて。

普段キャラクターの心理を考える時ってプロファイルみたいな感じに、そのキャラクターの情報を全部自分の身に置き換えて状況を想像するんだけど、何せ、大切な人に憎まれているかもしれないなんて経験がないものだから(笑)どうにも理解が出来ない。

「それで全部か」っていうのはつまり「本当はオレを恨んでるってお前は言いたいんじゃないのか?」って暗に言ってるんだろうか? 
でもそう考えると、テーブルを叩いた理由にはしっくりこない。

それとも。
「うるさい、黙れ。そんな事でぎゃあぎゃあわめくなっ」って逆ギレしちゃたのか?
これだとテーブルを叩いた理由には納得がいくけど、あの場を去る理由が分からない。

水島版の時も何か解釈を上乗せしてくるかなと待っていたのに、改変されてしまってこのシーン自体が無くなってしまったし。
なら今度こそと入江版を期待したんだけど。
この辺りの流れも表情も演技も特に原作からの大きな違いは無いまま。
という事はこの情報だけで充分、監督も脚本さんも朴さんも、理解をしていたって事なのよね。

ってことで。何度も繰り返し観返しましたよっ。第9話「創られた想い」。

んで。ふと気付いたのは。

そもそも、エド本人はこのシーンで「怖くて訊けない」事についてまったく触れてないって事なのよね。

あれはあくまでも、アルが、エドのセリフから勝手に連想してしまっただけだし。
ウィンリィも、エドがいない処で語っただけ。しかも、実際に語ったのか、ウィンリィの回想なのかすらあやふや。
まさか、あんな風に自分が去れば、ウィンリィが勝手に話すだろうと想定していたような腹黒さの持ち合わせはないだろうし。
だったら。とりあえずこの過去エピはエドの今の感情からは外しちゃっていいのかもしれない。

ということでもう一度頭から熟考し直し。

まず、エドがテーブルを叩く。
音声だけで聴くと、もっとはっきり分かるんだけど、アルを殴ったんじゃないかって思うくらいかなり勢いのいい音でテーブルを叩いている。

なら、これは素直に「アルへの怒り」と受け取っていいんじゃないのか?
うん、エドはアルの発言に対して怒った、そう仮定する。

じゃあ何故怒ったんだろ?

自分はエドが作った偽者かもしれない、そんな不安でいっぱいいっぱいになってるアルに、普段の長男気質たっぷりのエドならその不安を払拭させる方をまずとるはず。なのにそれよりも先にエドは怒ってしまった。

すごく、らしくない。

なんでこんな、らしくない行動をとるほど、エドは怒ったんだろう。
その怒った理由は、アルの言葉の中にあるって事よね。
アルが言った事と言えば、

自分は本当はアルフォンス・エルリックじゃないんじゃないかって事。
アルの魂はエドが作った偽物なんじゃないかって事。
みんなでアルに嘘を付いているんじゃないかって事。

……あ、萌えが過ぎった(笑)。

あのさ、あのさ。つまり。

偽物のアルの魂を自分の隣りに置いて満足する人間だって。
自分はそういう人間だとアルに思われた事に腹を立てたんじゃないのかな?

アルがアルだからこそ、自分の心臓すらくれてやると言い放ち魂を錬成したのに。
「アルではない魂を、自分の弟として受け入れる兄」。アルにそう思われた事に腹を立てたんじゃないのか?

隣りにいて欲しいのは誰でもいいわけじゃない。
たった一人の大切な弟、アルだからこそ。
なのに、エドのそんな気持ちも知らず。アルは、はなからエドを疑った。

自分は兄が錬成した偽物じゃないのか? と。

自分を、そんな奴だとアルが思っていたと知り、腹が立ったんじゃないのかな?


おおっ、それなら筋が通るぞ。

アルにそう思われていた事に対し、テーブルに八つ当たりするほどの怒りと、ショック。
頭を冷やしたいのと打ちひしがれた様子を他人に見せたく無くて屋上に出たと。

うん。なら屋上のあれは組み手なんかじゃなくて、やっぱりケンカなんだ。一方的ではあったけど。

記憶は植え付けられても、組み手とかケンカとか体得した記憶は受付けられるものじゃない。だからそれを分からせる為にケンカをふっかけたんじゃないかとずっと思っていいたのだけど。それだけじゃなかったんだ。

ふざけるなと。オレがそばにいて欲しいと思っている相手はお前だろうが、と。
アルがいないならアルの偽物でもいいと、そう思うような兄貴だとお前は思っていたのか?

そんな風にエドは怒ったんじゃないだろうか。そう考えるとエドの気質からもしっくりくる。

ケンカの後の、2人の会話も面白い。
最初はエドが話を誘導し、アルがこうだったよね? とエドに同意を求め、エドがそれに応えている。
それが繰り返され、徐々にアルの語尾から疑問形が消え、最後にはエドの覚えていない記憶についてまで断定的な話し方になっている。
その誘導がね、すごくお兄ちゃんしてるの。

自分が恨まれたくないって想いよりも、アルに対する自分の想いを否定される事の方が、エドにとっては一大事なんだ。

それってつまり。
アルに嫌われる事より、アルに自分の愛情を疑われる方が耐えられないって事で(笑)。
すごく萌えるわーっ(爆)。

おそらくこれから先も、自分を恨んでいるかなんてエドは訊かないと思う。
恨んでいるかを心配するより、アルの心がゆらがないよう自分が強くなる。そっちの方が大切だって、きっと思ったから。

あ、面白い事に気づいちゃった。
前述したけど。このシーンって、水島版ではカットされてたのよね。
アルのあの台詞も確かにあったんだけど、エドが答えないものだからアルがぶちきれて、屋上から飛び降りちゃって。
エドの答えはうやむやのまま。
怖くて言えなかった事についてだけ、エドがアルに直接しゃべる流れになっていたのだけど。
そう。水島版のエドは怒らなかったのよ。自分はアルの偽物を隣り置くような奴じゃないって。

だから。

水島版のエドはアルに良く似た子、ハイデリヒをそばに置く子として矛盾なく成立したんだ。

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コメント

おお、面白いところに着地しましたね~(笑)
アニメのエドって人体錬成のときから、あんまり乗り気じゃなかったアルを半ば無理やり引っ張ってってましたからね。
そういう意味ではアニメエドは弟への「負い目」がより強く出ているキャラだと思います。
でもさみしい気持ちはあるし、どうにもできないから、せめてハイデのそばにいたい的な…。
アニメ兄さん弱! だがそれがいいww
そして劇弟のあのはっちゃけたきゃるんぶりがまた(以下脱線)
面白い考察堪能しました♪ありがとうございます~

そのとおりだと思いますよ、りほさま。
「そうか」とうつむいた兄さんは、『打ちひしがれ』て傷ついた事を堪えている様子ですもの。

>さやさま
ありがとうございます♪
水島版エドは、結局、誰かがそばにいて欲しい子なのかなぁ。
目の前に手を差し伸べられたら、あと先考えずすがっちゃうみたいな?
それで周りが翻弄されるという。魔性だわ、魔性っ。
あー、なんかWアルが可哀想になってきた(苦笑)。

>うさぎさま
ご賛同ありがとうございます。
そうなんですよね。あのエドの表情がどうにも今まで理解出来なくて、幾年月(笑)。
やっと自分の中でしっくりと落ち着きました。

ああ…何度もごめんなさい。
私の解釈なんで正解はわかりませんけど、「誰かがそばにいて欲しい子」というよりは、アニメ1のエドは罪を全部自分で背負っちゃった子かなと思ってます。
もちろん周囲は「なぜ私の元から逃げ出した!」(うろおぼえ)とか、アルだってそんなふうに背負えとは言ってないのに、全部なにもかも自分のせいだ、と思っちゃった子かなって。
例えが不適切だったら申し訳ないですけど、弟との四人家族でいる両親が離婚するとして、理由は両親自身にあるのに、全部自分のせいって思っちゃった的な?
なんかそういう痛々しい感じがします。

だから他人のノーアにはハイデんちに転がり込んだ話はできても、肝心のハイデにはその感じがわかってもらえてなくて
「他人に興味持ってもらえて嬉しいわ全く」的扱いを受けているというか。

なんだろう、だから周りが思わず手を出しちゃう子ではあるんですけど、縋っちゃう子ではなくて、むしろ縋れたら幸せになるのにって言うか、よけい回りがやきもきする救われない子だと思うんですわ…。
だからこそ二次ではこちとらえらいこと頑張り、公式ではきっと劇アルが救ってくれるんじゃないかなって…!
ほとんど違うほうへ来てしまいました。解釈失礼いたしました(平伏)

>さやさま
おおっ、さすがハイエドファンの言葉だぁ。エドの捉え方に違いが出ますねぇ。

「縋っちゃう」って言葉だとちょっと強烈かもしれませんね。でも。
私はエドって手放せないくせに欲しがらない子っていうイメージがあるんです。
最初の人体練成の時もそうだけど。最終話の時なんて如実。
失う事が出来なくて咄嗟に手を伸ばすくせに、自分が傍にいる事は最優先事項じゃあない。
だったら、飼えないのに拾うなよと(笑)。
エドがよくアルに猫の事で言い聞かせている事を、エド本人は人間相手にやっちゃってる気がするんです。

逝かれるのはイヤ、辛い、絶対助けたい。なのに、側にはいてくれない。
大切にされているのは伝わるけど、でもそれってされる側が辛い。
さやさんが書かれた通り、誰も全てを背負えなんていってない。でもそんなエドの態度では。
隣りにいることが、エドの望みなのか違うのか、ちっとも分からない。

シャンバラのエドなんてもう。アルを置きざりにしようとするばかりで。
こちらの世界に来たのも、留まる事を決めたのも全てアルの意志です。エドはただそれを受け入れるだけ。
最初に死ぬなとその手を引っ張ったのはエドなのにっ。

腐的発言をまじえると。エドアル好きの言う台詞じゃないですけど。
アルがそんなエドといるのは不幸になるばかりだよなぁって実は思っているんです。この世を去ることは許されないのに、振り向いてくれない相手を追いかけるばかりですから。
でも端から見たら不幸にしか見えなくても、アルにとってはエドの側にいる事こそが幸せだって、あの鎧からひょっこり出てきた時の笑みを見ちゃうと頷くしかなくて、じゃあ全面的に応援してあげるよっって気持ちにさせられるんですよぉ。

あー、なんかすっかり話が反れちゃいました(笑)。

遅くなりましたが、解説ありがとうございました。
わざわざツッコミにてご報告もありがとうございます。
でも、ツッコミ頂く前に、記事は拝見しておりましたが。スミマセン。ストーカーで。

ほうほう、と頷くばかりでございます。
最後のオチ(?)の水島版エドの思いは、目玉が落ちるほど納得しました。その結論が導き出せるりほさんスゲー!と改めて。
あと、原作沿いつつ、自分設定に矛盾するところは、しっかりとカットしていたI川スゲー!と、初めて(?!)思いました。
コメント欄共々楽しませていただきました。ありがとうございます。
自分でも、色々考えてみたいと思います。
ペコリ。

>とつさま
召喚申し上げてすみません。
お役に立てば何よりですが、果てさて。
一応私の結論はこんな感じで落ち着きました。

とつさんの考えも、まとまったら是非聞かせてくださいましね。

>I川スゲー!と、初めて(?!)思いました。
あ、初めてなんだ(笑)

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