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鋼の錬金術師FA 外伝「盲目の錬金術師」感想ネタばれあり(原作ネタばれ含む)

先に謝っちゃいます。ごめんなさい。
もうもうもう、無茶苦茶語ってますー。うわーちょっとやばい。
こういうの大好き。原作から削られたものは少ない。
かわりに付け加えられたり変更されたエピソードはホンの少し。
同じシチュエーション、同じ台詞なのに、こうも与える印象を変える。
こういうの、めっちゃ好みだわぁ。

マンガ「盲目の~」における私の印象と言えば、一番最後のあのエドのキツイ目。
彼らを哀れむような言葉を裏切るあの表情。
自ら救われる事を望まない人々を、エドは冷ややかに突き放す。
オレだったらこんな事は望まねぇ、そう言いたげな表情で。
そんなエドの。
あまりに子供らしい真っ直ぐさと真っ正直さが、まぶしくもあり痛かった。

今回。その最たる部分のエドの表情を変えてきた。
そして声音も。
私が想像していたのは押し殺すような低く冷たい声。でもそうじゃなかった。


アニメでも、マイスナーが淡々と語る物語は。
アルが言うようにみんないい人。みんなの優しい感情で埋め尽くされていた。

でもBGMだけがそれを裏切ってた。

あの曲の最大の盛り上がり部分って、心の中から振り絞る叫びっていうか。
泣く寸前の、気持ちがうわーっっと高ぶるあの感情の再現みたいなメロディーラインなんだよね。

彼らの笑顔の奥に、偽りの中で暮らす痛みがダイレクトに伝わってくる。
「みんながいつも通りならそれでいいのです」その気持ちに嘘は無いかもしれない。
けれど、大切な人を騙し続ける罪悪感や、その犠牲の上に成り立つエミの生活。
決して今の状態が最善だと思っていない事を告げるように、BGMは嘆きを伝える。

だから。視聴者と同じ目線にいるエドは、彼らを突き放せない。

エドの左の目はロザリー達を睨み、だけど顔の右半分には憐みがあり。
への字に曲がった口元や、左の眉根のシワは、理不尽さに憤っているようにも、泣くのを堪えているようにも見える。
彼らの中の色んなものや事を見据えようとしている顔だ。

だから。エドの口からこぼれた言葉は搾り出すような声だった。
そこには原作から想像していた険は無く。
エンドロールのBGMは、泣きそうになるくらい優しいけど悲しい音色。
エドが彼らを憂いている事を代弁するかのように。

発売前、速水さんと遠藤さんのインタビューにあった「浄化」という言葉が原作にそぐわなくて、そんな話だったけ? と首を傾げたのだけど。
確かに分かる。
カタルシス(=心の浄化)とは、悲劇を観る事で登場人物に共感し同情し心を揺さぶられ、感情を解放される事によるのだとかなんだとか(適当ですまん)。
なるほど、悲劇色はアニメの方が強く、視聴者視点のエド自身も彼らに共感し同情している。

エドは、手を出さないし、手を差しのべないという点で原作とまったく同じ行動を取っているし、セリフだって変わってない。なのに。
こうまで印象は変えられるものなんだ!!

そう考えるとアルの台詞も違って聞こえてくる。

「みんな いい人だね」だから、兄さんは何も言ったらダメだよ。
エドの正義感が誰かを傷つけないよう、ゆるやかに釘を刺しているように受取れた。

あとね、あとね。
原作との大きな違いは、ジュドウが全盲ではないということだと思う。
冒頭のシーン。薄目を開けた時、人はちょうどあんな視界になる。
立ち話でエドの語るジュドウの噂に、ジュドウと奥様が顔を見合わせ微笑むシーン。
あれは先に奥様が振り返りそれを察してジュドウは振り返っている。
あずまやでは、エドが奥様の方からジュドウに向き直ってから、ジュドウは話を始めている。
ジュドウは決して、まったく見えていないわけではないんだ。

ならば。
彼は本当に今の状況に違和感を感じていないんだろうか?
例えば記憶を失ってしまったとか、そんな風に主人や奥様は言ったかもしれない。
けれど。
ロザリーの髪の色、クセ。
声。しゃべり方。握った手の感触。
主人や奥方、使用人の態度。
目の悪い自分を軟禁出来るあずまやの存在。

錬金術師は真理を追い求める者。
彼も錬金術師なら、それらの違和感に目をつむり本当に放置してしまうものなんだろうか?
わずかにでも目が見えるなら尚更に。真実を確かめようとするんじゃないだろうか?

「考える事が出来るのは人間だけ」。
ジュドウがエミに語ったその言葉は、どんな話題で出たものだったのだろう。
どこかで、錬成を失敗したのではないかという疑念があったからではないか?

この作品のタイトルは「盲目の錬金術師」。
サブタイトルの「BLIND ALCHEMIST」は直訳すればそのまま「盲目の錬金術師」なのだけど。
それ以上に「BLIND」という文字が、ブラインドが閉ざされた状態を想起させ。
全ての情報から遮断された錬金術師という、ジュドウの今の状態を差しているようにも受け取れる。

でも。
アニメではさらにもうひとつかけているように思う。
全ての違和感に気が付かない振りをして。
みんなの優しさを傷つけないよう。
平和な今が崩れないよう。
自ら、目を閉じてしまった錬金術師。

ジュドウは騙されているのではなく、騙されている振りをしている。
互いが互いを思いやり嘘を付きあう関係。

そういえば、偶然だろうけど。ジュドウの名前は「受動」とも受取れる。
目の前に広がる情景をただ受け入れ否定しない。
それもまた錬金術師のあり方なのかもしれない。

違和感は違和感のまま、真理を追い求める事をやめてしまった錬金術師。
もしかしたら彼はそうなのかもしれない。。

さて。やっとここから箇条感想です。長っ。ごめん。

・パフェ! あの時代にパフェはOKですか?(笑)。「怪盗サイレーン」を思い出しちゃったよ。みたらし団子とテーブルいっぱいのカツ丼を。番外編(サイレーンもいわば番外編)って事で水島版へのオマージュかなとちょっと思った。


・「エドの白いものがアルの顔にかかったっ」て書くと、すごくエロくない?? エロくない????  むちゃくちゃ妄想しちゃったよ、アル、ごめんなさいっ。


・ちょっと珍しい、角だけリアルな矢印目のデフォルメアル。なんかすごく変ー(笑)。
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・全身鎧、変人鎧、全身鎧、変人鎧……。最初気が付かなかったよ。遠藤さんお疲れ様っす(笑)


・「あっちでおもちゃになってるのが弟のアルフォンス」。アルの様子を見た後は眉尻が思い切り下がってるのっ。「あーあ遊ばれちゃって」かな。「ガキのお守させて悪ぃな」かな。表情がすごく柔らかい。
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・エドの口調がやたら偉そう、と思ったら原作からだった(笑)。


・ロザリーに遊ばれてるアルが可愛いっ。
ロザリーによじよじ昇られて慌てて抱き上げて止めた時、胸にもお尻にも触わらないで胴だけ支えているっ!アル紳士だぁっ。
脳内でエドに置き換えて妄想したらちょっと鼻血が(爆)。
この話のアルはホント可愛い。ロザリーとの身長の対比のせいってのもあるのかなぁ。
ロザリーがアルの腕を両手で引っ張るシーンなんて、アルの腕、ロザリーの胴周りくらいあるよ(笑)。やっぱりアルって大きいんだよなぁってつくづく思ったり(あ、でもロザリーってまだかなり子供よね、執事さんに手をつないで貰ってた時親指だけで事足りてたもの)。
この小首をかしげているさまなんてホント可愛い~。堪能っ。キャプって壁紙にしようかと思ったくらい可愛いかったっ。
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・「エドワードさんは失敗してしまったのですか?」エドの表情が陰るのに合わせて画面も暗くなる。
あまりにエドの気持ちに合わせてあるものだから、背景ではなく心理描写を表してるのかと最初は気にもとめなかった。
それが今度は素知らぬ顔して、エドの心理とまったく真逆な処でエドの顔に日が差す。辺り前だよね。自然物なんだから。
そのアンバランスさが、自然物っぽく面白い。


・「本物だよ」この台詞。20話まで進んだ今のアルなら、そうではないと知っている。
この時点でこの話が収録された事で、マンガで読んだ時とはまた違う読み方が出来る。

原作収録のパーフェクトガイドの発行年月は2003年12月。6巻が2003年11月。ガンガン本誌はおそらくグリードのあたりだった? まだ2人が人体錬成の真実に辿り着いていなかった頃に、この作品は発表されている。
放映が終わった後、DVDやBDで初めて見る人たちも、同じタイミングで読む事になる。

だけど、TVを見てDVDで番外編を見る、今このタイミングの視聴者だけが違う見方を出来る。
もっと後に、今の2人が訪ねていたなら……。
エドとアルは、ロザリーの中のものが何かを屋敷のみんなに知らしめただろうか?
ロザリーはあの家の本当の子供に成れただろうか?
ジュドウはどうするだろう?
奥様は? 執事さんは?
その時、みんなは幸せになれただろうか?


・「我々使用人全員彼を騙しているんですよ。そしてこれからも騙し続けるでしょう。それでみんながいつも通りならそれでいいのです」。
のちのちに、今度はエドがこの言葉と向き合う事になる。

大総統がホムンクルスであったとしても、全国民を騙していようと、今の生活に何か支障があるわけじゃない。
ホムンクルスなんてバカげた真実を語ってもきっと受け入れられない。大総統=ホムンクルスという理由だけで失脚させることは出来ない。
軍事が強いとは言え、国民は制圧されているわけじゃない。ささやかでも幸せに暮らせる日々に民は満足している。
その日常を壊してでも大総統を倒す事。それをどう国民に理解させられるのか。

ニセモノの幸せの先には、大きな不幸が待っているのだと。

荒川先生お得意の、エピソードの繰り返しはこんな処にも転がっている。

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