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復讐はいけないと本当に「鋼の錬金術師」は言っているのか?

随分前からぐだぐだ書いていたんだけど、アップするタイミングを見事に外してしまったので。
結構身も蓋もない変なタイミングでのアップになってしまったよ。
とりあえず、マスタングが表で動き出す前にはあげたかったのでギリギリOKだったりするのかな。

結論から言ってしまおう。
私の結論はこう。

別に。「鋼の錬金術師」って、「復讐がいかん」と言っているわけじゃないじゃね?

えー? だって。
そうじゃなきゃ。復讐者の筆頭スカーにあんな美味しい活躍の場を与えないんじゃねえの?
主人公の大切な幼馴染の両親を殺した奴と、主人公が共闘するなんて。
それだけでもう、復讐したって改心すればOKよん、って言ってるようなものじゃん。

「獣」じゃないけど、人は(育ての)親殺しをしてもやり直しがきく、みたいな?

物語の最終局面では、おそらく死が待っているとは思うけど。
死体が野ざらしされるようなそんな事は、きっとないよね。
きちんと墓も立てられ、涙のひとつも流す奴がいるかもしれない。
大量殺人鬼なのに!!!!

だから。「鋼」が描きたいのは、そっちじゃなくて。


「人を呪わば穴二つ」なんじゃねぇの?
そんな風に思ってる。


人を殺すなら、自分も殺される覚悟と、殺されるような事をしている自覚を持て、と。
それが嫌なら「耐えねばならんのだよ」。

だって、ぶっちゃけ。
生きてりゃ誰だって、人を殺したいと思った事のひとつやふたつやみっつやよっつやいつつや……(げふごふっ)、自分の胸に手を当てて、そんな記憶、無いすか?
あたしは普通にあるぜ?

少なくともロイは、スカーの復讐を「正当な権利」と言っていた。
これに対し、エドは「神の代理人を気取っているだけ」と返しているが、これだって。
「復讐はダメ」と言っているのではなく、殺人犯を殺した処で死んだ人間は生き返らない。
その無意味さを言っているんだと、私は受け止めてる
復讐を否定していない。

フー爺さんは、リンの身体を守る為じゃない。アメストリス人に一飯の思を感じたからじゃない。
「ランファンの仇」という私怨からブラッドレイを殺そうとして殺されてしまった。

ロイだって同じだ。
ロイ・マスタングという個人が復讐に燃えようが、そんなこたぁはどうだっていい。
復讐したければすればいい。ま、返り討ちにあって死ぬかもしれないけどな。
他の仲間に復讐されるかもしれないしね。
それで本望なんだろ? なら勝手にやりゃあいいさ。それでおしまい。

だけど。
ロイ・マスタングが。
自分達の上司が、命令したんだ。

敵を殺すな、そして、自分達に死ぬな、生きろと。
私怨なんぞで敵を殺されてみろ。いい迷惑だ。
部下としては、やってらんない。すべてがおじゃんじゃないか。
自分達には「死ぬな」と言っておきながら。
当の本人がハナから墓穴を掘る気まんまんなんざ、部下への背信行為だ。
そんな人間についていけるか。


ましてや。
今、動いているのは公人ロイ・マスタング、大総統夫人を中央軍から助けた救世主様っ(ぷぷっ)。
民衆の誰もが今ロイに注目している。

だから、敵兵を足止めさせる為に負傷は与えても、一切殺さない。
下手に殺せば復讐を叫ぶ者も出るだろうから。
アームストロング家みたいな、代々将軍を輩出した家系の軍人もいるわけだよな。
父親を殺されたぼんくらなジュニアを担ぎ上げて陰謀があったりしても面倒だ。

ただでさえ手持ちの駒は少ないのに、そんな事で貴重な兵を無碍に殺せば、トップに立った時に人材不足で自分の首を絞める事になるのがオチ。

そんなことするよりか。
軍上層部の思惑など知らず戦っていた兵士相手に、「罪を憎んで人を憎まずだ」とでも言っておけば、民衆はさらにロイを勝手にに持ち上げてくれるさ。

軍事国家とは言え、民衆に対して独裁政治を布いていない現状で、安易な人殺しは民衆を恐怖させるだけでしかない。
「イシュヴァールの英雄」の名も、どれだけイシュヴァール人を殺したかではなく、どれだけ兵士を生き残らせたか、によって付けられたというのも好都合だ。
あくまでも公人ロイ・マスタングは「クリーン」でなければならない。
瑕ひとつあってはいけない。

だから。

前例は許されない。それが法の下では裁けない相手であったとしても、だ。

まだ軍上層部、プライド、ブラッドレイ、お父様は息絶えていない。
うっかりそいつらを殺し損ねた時、どこで、どんな流言が流されるか分からない。

公には「罪を憎んで人を憎まず」を掲げて置きながら、影では私怨で抹殺する男だぞ。
そんな人間がトップに立てみろ、いつその刃がこちらを向くか分からないじゃないか。

そんな噂ひとつ流されれば、はいそれまでよ。 人の口に戸は立てられない。


そして、ロイ自身もまた、自分に前例を作ってはいけない。
一度許せば、二度目が出る。
そして、二度目の禁を乗り越える壁は一度目よりさらに低くい。
ましてや、まだ、国のトップに立ってすらいないこの時期だ。
今から前例を作ってどうする。
国が平定を保つ前に、たちまち恐怖政治の到来だ。
今は、一番自分を律しなければいけない大事な時期。


だから、だ。
国のトップに立つ為に動き出した今はもう、人殺し(=軍人)ロイ・マスタングは過去のものにしなければいけない。
常に人を生かす者として行動しなければならない。


だからロイ・マスタングに復讐させるわけにはいかなかった。

それが私の結論です。

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