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ガンガン2010年4月号 鋼の錬金術師第105話「神の御座」ネタバレ感想

ネタばれ回避文です。
ちょっと今月号の感想、すごく困ってます。確かに面白い処はあるし。
ああ、これが「鋼の錬金術師」で荒川先生の描きたかった事なのかもしれない、って思った事とかもあるんだけど。
よそ様の感想みたいに、私はテンション高くなれないよ。
一気に読めない。何度も突っかかりながら読んでます。
コミックス収録時に、多少なりとでも改善されるといいのだけど……。

・巻頭カラー
久々のチビ兄弟ーっ。
やっぱりぷにぷにしてて可愛いなぁ。
だがしかし。
このエピソード……orz。
こういうのはさ。
遅くとも先月の発動前に入れて、伏線として機能させてしかるべきだったんじゃないだろうか。
太陽と月が重なる=雌雄同体 なんて今更ここで言われても。
「そうか、そうだったのか!」となるより。
「へぇ…?」としかリアクション返せないよ。

だって、太陽に対して今まで、「魂」という寓意と、太陽を食らう獅子で賢者の石を表す寓意と。
そして。これが一番マズイ。
キンブリーの手のひらのそれは、まさに太陽と月を重ね合わせる錬成陣だったのに、その説明のシーンではまったくそんな話をしていなかった。そのときの寓意すら、陽と陰のみだ。
それをここでいきなり「雄」と「雌」を表すから雌雄同体って…。そりゃ錬金術を調べれば出てくる言葉だから「なるほど筋は通ってるよね」とは思うよ。
けど、本編に出さずいきなりそれを持ち出すのは何とも……フェアじゃない。
実にジャンプ的というか。
ミステリで、「名探偵みんな集めてさてと言い」の場面になって初めて誰も知らない新事実を持ち出されたような、そんな気分。
それよりは「そういえば、前にそんなシーンがあった!」と読者に思わせる形にした方が構成上美しかったのに、と思ってしまう。
 
だから、FAでもこの先の展開を考えて、そのキンブリーの錬成陣の説明シーンはカットせざるを得なかったんだろうな。
出来ることなら、そこで雌雄同体の伏線を張る展開こそがが望ましいが、原作で語られていないことを先にアニメで語らせるわけにはいかなかったんだろう(? ということはアニメより先に原作が終わるって事か?)
  
今回の導入として使う構成も確かに美しくてこの1話だけを見るなら、文句無くうまい効果を出しているし、ありだ、とも思う。だけど。だからこそため息がでる。
  
最近の荒川先生の傾向、理屈より目を引く面白さを優先すべきという部分(意訳入ってます)が、わたし的には好みではない方向に働いてしまってる。
わたしはやっぱり、優先すべきものは優先して欲しい。
 
「鋼」はミステリじゃないよって? そんなこたぁ分かってる。
だからこそだよ。
 
「鋼の錬金術師」はロー・ファンタジーのように見せかけているが、れっきとしたハイ・ファンタジーだ。この世界のルールは全て著者の手の中にある。
この鋼世界も、太陽と月はひとつなのか。
住民の天文知識はどの程度なのか。
いや、そもそも、この世界の太陽はこちらと同じ核融合を起こす恒星なのか? 月は地球の周りを回る衛星なのか?
今まで何も提示してこなかったツケがここに来て膨大に襲いかかってきてる。
 
うん。エド達のいる世界が球体の惑星上にあり、その星の名前が「地球」だったって、先月号ではじめて私は知ったよ。
 
何を当たり前のことを? とは言わせない。
ドラゴンが出てくるファンタジー世界でありながら、そこは世界の果てが存在する平面世界だった、なんてSF設定の物語はどこにだって転がってるんだから。
  
作者が物語上でそれを語らなければ、その言質がとれるまでは、例えどんなにこちらの世界と似ていようが、鋼世界はこちらとは全く次元の異なる別世界だと、わたしは信じて疑わない。
同人誌じゃないんだから。暗黙の了解は通用しないし、通用させてはいけない。

話が遠回りになった。
だからだよ。
錬金術で何が出来て、何が出来ないのか。
いわゆる一般化されている錬金術のルールが、「鋼の錬金術師」の錬金術とはイコールでない以上、それはあらかじめ提示すべきだった。わたしはそう思うよ。
  
 
 
・「くそ!! 錬成できない!!」 
結局その理屈ってやつは公開されないんだろか? 未だにわからない。
国土錬成陣が発動された今なら、その錬成陣に触れることで発動するってのは別にいいんだけど。
その理屈がね。
錬金術が科学という以上は、その錬金術によって地表がどのような状態に錬成されたせいで、錬金術が使えなくなるのか、そのプロセスが知りたいんだよなぁ…。
 
 
 
・「全員俺のそばを離れるなよ!」 
ということで、父ちゃん初の大活躍っ。
今まで、よーしここからはホーエンハイムのターンだぁぁぁぁ!!!
と思わせては裏切られ続けて早幾年月っ。
今度こそ、やっと本領発揮だよっ。
いやもう、なんつうか、賢者の石の魂達のささやきがダサいとか言いたい事はあるんですけどね。
すげぇ頑張ってる。
 
 
 
・「術が発動しない!!!」
……えーと。誤植???
だってもうさっきエド、手パンして「錬成できない!!」って言ったのに。
すでに分かってるはすでしょ?
何故この台詞???
「なんで術が発動しないだ!!!」とかなら分かるんだけど。
描き直す前の原稿と、描き直した後の原稿が混ざった???
思わずガンガンネットの、(新着情報という名の)正誤記事見に行っちゃったもの。
なんか、この流れ絶対変だよ(涙)。
 
 
 
・「地面の防御はおまかせください アルフォンス様」
いやもう、ここのコマのシャオメイが可愛いっす。
いつもメイ・チャンの真似っこばかりしてるのに、ここではちゃんとメイ・チャンの心配をしてる。
愛い奴ーっ。
そしてここに来てメイも大活躍。うん、偉い偉いっ。
あーよかった。ホント最後までマスコットキャラだったらどうしようかと。
 
  
 
・「しかも その力が大きければ大きいホド こちらの利用できる力も大きくなるんでス!!」
一瞬、意味が分からなかったんだけど。
そうだよね。お父様の攻撃を跳ね返してるわけじゃない。
例えば水道管ゲームみたいもの。
龍脈を通ってくるお父様の攻撃を、他の龍脈の流れに沿わせて方向転換させる。
そんな感じか。
 
そう聞くと。やっぱり、イズミの言う錬金術と同じに聞こえる。
うーむ。
 
 
 
・「例えるならへその緒で母体と繋がる赤子のようにな」
大方予想通りでしたな。
 
やっぱり、お父様は気づいていなかったんだ。
これが錬金術の面白い仕組みなんだよなぁ。
発動したかどうか、成功したかどうかは、目視でしか確認出来ない。
リザが、銃は人を殺した感覚が伝わらないといったのと同じ。
錬金術もまた、手元には、錬成が成功したという感触が伝わらない。
それはある意味すごく危うい武器。拳でブン殴るのと違って容赦、加減というものがわからない。
そう考えると。
 
イズミの修行って、錬金術を身につけるうえで本当にすこぶる模範的なものだったんだ。
体術を身につけることでどのような衝撃がどのくらい相手を傷つけるかを学び、そのうえで錬金術を身につける。
 
だから。
机上の論理ばかりだったから、ホーエンハイムの師匠もホーエンハイムも、犠牲にする人々の痛みを想像出来なかった。
  
そしてだからこそ、今回逆手に出来たんだ。
  
  
 
・「消えて失せろ 錬金術師」
真理とはDNAなんじゃないか? そんな話を前回の感想の時にした。
  
「世界の大きな流れ」からはじき出された存在。

鋼の同人誌を読み始めたのは2004の初頭、その頃、その「はじき出された」対象をアルとして描かれたものをいくつか見かけた。
原作というより、水島版の中で、アルが国家錬金術師の資格試験を途中で降りなければならなくなった事や、小さな女の子が自分の視線を感じて隠れてしまったのに気づき「ボクって怖い?」と落ち込んでしまった、多分そんな辺りのエピソードから派生したんだと思う。
  
更に。水島版のスロウスはどんな存在だった?
エドとアルの錬金術がこの世に生み出した、人ではない人、スロウス。
人だった頃の記憶がありながら、人ではない事に苦しんでいた女性。
自分の子を殺すことで、その記憶から解放される事を望んでいた。
エドはスロウスを葬り去ることが、自分の罪の償う事だとした。

ひるがえって。
ホーエンハイムの血によって、この世に生み出されたフラスコの中の小人は、はなから人ですらなかった。
フラスコの中の小人は自分の身を、どう思っていたのだろう。
彼を生み出したのは誰だった?

フラスコの中の小人が、クセルクセスの住民を皆殺しにした罪は重い。
けれど、その罪の発端はどこにある?

ホーエンハイムの師匠であり、血を与えたホーエンハイムに、あるんじゃないのか?

人が、神の領域を侵し、人ならざるものを作った事が一番の要因だったんじゃないのか?

世界が、ひっくり返る。

諸悪の根元は誰だったのか。
本当に罪深いのは誰なのか。
 
加害者は、本当の加害者は、おそらく人間。

違うか?
フラスコの中の小人は、何の罪なくこの世に生を受けながら、生まれた時から世界に、神に、真理に見放された。
世界からはじき出された存在。
その姿、フラスコの中から出る事あたわず。
奇異な目にさらされ、ただその知識だけが求められた。

世の中に自分のような生き物など探したっていやしない。
探す足すらない。
生まれたくて生まれてきたわけじゃない。
すべては錬金術師の、いや人間の傲慢な掌によって産みだされた化け物。
その生を誰からも祝福されない存在。
 
どうして誰も、彼を抱きしめてあげられなかったのだろう。
「生まれてきて嬉しいよ。ありがとう」
そんな無償の愛を与える存在が何故いなかったのだろう。

これは。
自分を突き放した神への、そして戯れに自分を生み出した錬金術師=人間への、長い年月をかけた復讐劇なのかもしれない。

家族や同志を殺されたスカーが軍に復讐を計り、両親を殺されたウィンリィがスカーに銃を向け。
親友を殺されたロイはエンヴィーをいたぶり殺そうとし、孫の腕を切り落とさせたラースとの戦いでフー爺さんは命を落とした。

誰かが耐えなければ復讐の輪廻は収まらない。
けれどそれは、己が被害者なればこそ言える台詞だ。
では加害者ならば? 
どうやってこの輪廻をとめられる?
 
「苦しみの渦の中にいるような感じだった」ウィンリィ達の魂は、フラスコの中の小人の何かに触れたんじゃないのか?
 
「消えて失せろ 錬金術師」
彼らさえいなければ、この世に生まれ出でる悲しみなどきっと知らずに済んだ。

フラスコの中の小人の一挙手一投足が、全て悲しい叫びに聞こえてくるよ。
 
 
 
・「本影だ!!」
これは、確かにっ。その発想は無かったな。
「円」というのが「環」ではなく、塗りつぶされた状態であってもOKという発想がなかった。
というか、円は「循環」を差すのに、本当にそれが有効なのか、はなはだ疑問なのだけど。
 
 
  
・「先に行くよ ホーエンハイム」
「逝く」ではなく、「行く」なのは。賢者の石はみな、自分が死んでいる人間であるという自覚があるからなんだろうか?
 
 
 
・「そのためにここに来たんだよ、フラスコの中の小人」
そうだっ。賢者の石と対話した彼が、イズミにあなたの罪だといった彼が、エドに「そういえる息子でよかった」といった彼が、誰かの命を使って元に戻ろうなんて考えるわけがない。

ホーエンハイムが選んだのは、「元の身体に戻って帰る」か「死ねない身体のまま帰る」か、のニ択なんかじゃない。

「魂ひとつだけになって帰る」、「複数の魂を身体に残したまま帰る」、あるいは「トリシャの元へ帰れぬまま死ぬ」。
その三択だったんだ。
  
元の身体に戻れるなんて、はじめから考えていない。
今のこの身体でどうやったらトリシャ達と一緒に死ねるか。ホーエンハイムが求めていたのはそこだったんだ。
 
自殺を50万回繰り返せばホーエンハイムだって死ねたかもしれない。
けれどそれでは、クセルクセスの住人は本当に無駄死ににしてしまう。
 
最初はおそらく彼も、賢者の石を使わず元の体に戻れる方法を研究していたんだろう。エドたちのように。
ところが調べていくうちに、フラスコの中の小人が何をたくらんでいるか気がついてしまった。
いやもしかしたら、元の身体に戻る方法を探していたからこそ、フラスコの中の小人と同じ理屈にたどり着いたのかもしれない。

だから、これは贖罪だ。ホーエンハイムは文字通り命を削る贖罪の旅に出ていったんだ。

賢者の石の数は五分五分。
賢者の石があれば、フラスコの中の小人を阻止することも可能。
そして、賢者の石がすべてなくなれば、あとは自分の魂がひとつ残るのみ。
おそらくラースのように、年老いることも可能かもしれない。そしていつか。
トリシャや子供達と同じように死ねる。
  
分の悪い賭だ。
いくつの賢者の石を地中に配すれば、ホムンクルスを止められる?
その時残った賢者の石は、フラスコの中の小人の体内の賢者の石とどのくらいの開きがでるだろうか。
力が五分ならホーエンハイムが生き残れる確率は1/2。
けれど、そのときホーエンハイムの体内に賢者の石はいくつ残っている?
本当にこれは可能なのか?

それでも。

トリシャはその賭に乗ったんだ。
行けばホーエンハイムが死ぬ可能性、それを知っていながら。
帰ってくると言ったホーエンハイムの言葉だけをただ信じて。
「子供みたな人だから」っと聖母のように笑って送り出したんじゃない。
ホーエンハイムは望みを果たして帰ってくる。
ホーエンハイムと子供たちとの幸せな日々がきっと手に入る。手に入れてみせる絶対に。
そんな強い意志がなければ、送り出せない。待てやしない。

トリシャも、戦っていたんだ。

信じることはたやすいが、信じ続けることは難しいって言ったのは誰だっけ?
トリシャは最期の瞬間まで、きっとホーエンハイムが死ねる身体で帰ってくることを疑わなかっただろう。
 
 
 
・「神とやら」
ホーエンハイムは3度言っている。一度目は本影に配した錬成陣の発動時。
二度目、三度目はその発動後に。
ホーエンハイムはそれを神とは認めていない。
 
 
 
・「踏ん張ってください おじさマ!!!」
あ、あ、あ、あ、あなたにおじさまなんて言われる筋合い なくてよっ。
あ、違う。別にお義父様って呼んだわけじゃなかった(爆)。
これだから、アンチ・アルメイは。
 
 
 
・「父さん頑張って!!」「てめぇこの野郎!! 気ぃ抜くんじゃねぇ!!」
いいシーンだ。いいシーンなんだけど。
……二人とも父親を盾にしてる事に変わりはないんだよな。
 
いや、分かってるさ。二人とも今、錬金術使えないし。
現在の状況では、兄弟がホーエンハイムを助けられるのっていったらこのくらいしか出来ないってことくらいはさぁ。
一緒に手を伸ばして助けるとか出来ないって分かっちゃいるんだけど。
 
あー、せっかくの初めての親子で戦うシーンだったっていうのに。
くぅぅぅぅぅぅどうにもこうにも勿体なくて。歯がゆいーっ。
 
でも。
「まいったねこりゃ…ボンクラオヤジだけど いいとこ見せたくなっちまうなぁ!!」
には萌えたっ。
 
  
 
・「イシュヴァール人よ (以下略)」
自分の言いたい事だけ言って、スカーの回答聞かずに逝っちまったなぁ。
今までの不満を全て吐き出すかのように。
スカーは何も答えずただそれを聞いていた。
まるで告悔のようだ。
 
「この状況でいまだ私に神の鉄槌は下らないではないか」。
イシュヴァール戦の時の彼の台詞だ。
 
彼は神に殺されたいのだろうか? 自分の罪を裁かれたいのだろうか? その時そんな風に思ったのを覚えている。
 
悪事が罰される事のないこの世に絶望をしていた身なればこそ、彼が自然の力によって裁かれたこと、罪は必ず罰されるのだと、天は世界を見捨ててはいないのだと、この天の配剤は、名もない彼の人間部分への手向けとなっただろうか?
 
 
 
・見開き一枚絵
コミックスのサイズなら多少印象が違うんだろうけど。
あの見開きサイズって、目が一瞬で情報を汲み取れるサイズよりも大きいんだと思う。
マンガを読むのに、コマのすみずみまで、くまなく見る人ってどれだけいる?
特に初読だとストーリーを追うのにいっぱいで、作者の仕掛けに気づける事って私も少ない。
何度も読み返す事で気づき、それが新しい発見になる。それがマンガの面白さだから、それはそれで良いんだと思ってる。
 
だが。
 
コマが無いってことは、作者による視点の誘導が無いってこと。
だからまず、ど真ん中に目がいく。
スカーの右手が大総統の左目を傷つけた(ように見えた)。
そのぐるりに台詞が無ければ次ページへ。それでおしまい。
 
おかげで、大総統の腕が切られている事に気づかなかった。
次ページをめくってアレ両手が無いと気付き、もう一度大ゴマの見直しだ。
ここで気が削がれた。
狙ったのはおそらく、ど真ん中をみた後に、切られた腕に気づくその時間差だろう。1コマの中にも時間の流れを作りたかったのだと思う。
 
大コマで上手く功を奏していたのは、以前描いたフー爺さんごとバッカニアが大総統を刺したコマだったな。
1コマで見ると明らかに剣の長さが長すぎる。
あれは、雑誌が右綴じであり、コマを目が右から左に流す日本文化だからこそ有り得た流れだった。
左ページ上のコマから、下のコマへ視点は移動し、刺されている大総統と貫かれているフー爺さんの絵が見える。
そして、その後に、見開きの右ページ側でバッカニアがさしている絵が目に入る。
バッカニアと大総統を、ほんのわずかであれ時間差をもって見れる。そこに時間の流れが生じていた。
 
けれど。今回のあの描き方でそれを期待されても、それはちょっとキツイ。
コマ全体の描き込みが多すぎる。情報量が多すぎてどこをどの順番で見ればいいのか、こちらには分からなかった。
例えば。マンガなんて描いたことのない素人判断だけど(読書歴だけはまた無駄に長いがな)。例えば天地をベタにして真ん中のみを使った、劇場版サイズにしてみたらどうだったろう。
そのサイズなら情報は全て受け取れたんじゃないかな。
 
血しぶきと錬成光の異様な書き込みは結局、読者に理解させることを放棄し、著者の楽しさを優先させてしまったなと思ってしまった。
その証拠に、なるかどうか分からないけど、あの見開きが無くとも話は通る。というか、ない方がすっきりして流れも殺されず読みやすい。
結局、荒川先生の空回りに終わってしまったとしか受け取れない。
 
いっそ、完成間近にページ不足に気づいて、慌てて後から付け足したっていう方がよっぽど納得いく。
そうであってくれた方がどんなにいいか。
残念で仕方がない。
 
  
 
・「天は粋な客を寄こしたものだ」
目が真っ赤なランファンがいいっ。
グリリンが先に来て、あとからランファンが来たってのがさっ。
その間どんな会話があったんだろうとか、色々想像しちゃう。

今すぐじゃなくていい。足手まといはいらん。爺さんとの別れを終えてから、来る気があったら来い。
とかさ。
思いやりの欠片もないような口ぶりで、別れの時間を作ってあげたのかなぁとか。
ちょっと、わくわくっ。
 
  
 
・「言い残す事は無いカ?」
「言い残す事」は、「思い残す事」なんだと思う。
あれをしておけばよかった。これをしたかった。あの人にああ告げておけばよかった。
それら思い残しを言葉にする事なんだと思う。
 
ならば彼は。
やりたい事はすべてやった。言うべきことはすべて告げた。
人生に思い残す事はないと言ったということだ。

レールの引かれた人生で自由に出来た事など少なかったはずだ。
愛する人を隣りに置く事が出来た事。
思いもよらぬ行動を取る、エド達に翻弄された事。
決められたレール以外を歩めたその事実が、これ以上になく思い残しのない人生にしてくれたのだろう。
 
それって、人間らしい人生を歩めたからこそ満足したって事じゃないのか。
人間より優れているホムンクルスとしてのプライドを持ちながら。
求めていたのは何よりも、人間らしい人生だったってことじゃないか。
 
そしてどこまでも傲慢だ。
「王たる者の伴侶とはそういうものだ」?
違うだろ? 妻がどんな女性か分かっているからだろ?
彼の身分では、ただ惚れたからって妻に選べるわけじゃない。
もし本当に気の弱い女性だったら、戦地に行く夫の帰りを待つことも耐えられない。
気丈な、自分が死んでも立っていられる、そんな女性だったから娶ったはずだ。

遺言などなくとも、妻は全て分かってくれている。
それは。
「王たる者の伴侶」だからじゃない、「私の妻」だからじゃないか。
莫迦莫迦しい。それって単なる惚気じゃないか。
 
キング・ブラッドレイ自身は気づいていないのかもしれないが。
彼の最期の言動はまぎれもなく、人間のそれだったよ。
 
 
 
・「王たる者の伴侶とはそういうものだ」
ランファン、それはある1人の王の理屈だ。
真似る必要なんてないからな。
 
 
 
・逆転の錬成陣
ついに発動。
なんだ。国家錬成陣の力を利用として発動するのかと思ったんだがなぁ。
別途、スイッチが必要なシステムだったのは意外だった。
「カウンター」と言っていたのは、ホーエンハイムの布陣だったって事なんだろうか。
 
錬金術にはかならず錬成陣がいる。
スカーが金歯野郎の錬成陣を使っても発動したものが違うのは、右腕が錬成陣を分解し左腕が再構築した、って理屈なんだろうか?

そしてやっぱり、エド達が錬金術を使えるようになった理屈が分からないー。
 
 
 
・「クソ真理と一緒に ぶっとばす!!!」
ここで真理の名前が出るって事は、真理の扉をもう一度あけるのか?
 
ちなみに、ちょっと話がズレるけど。
先日オフ会の時に友人が、前号の太陽と地の扉が両方開いた状態を見て、エドとアルが二人でくぐって真理の扉が両方開いた場合もあんな風になってしまうんじゃないかと気にされていて。
個に対しての「魂」の扉と、「肉体」の扉だから関係ないんじゃない? みたいな回答をしたんだけど。
あとから考えたらちっとソレあやしくて。
エドの扉の絵は生命の樹だけど、アルの扉の絵からは「SPIRITVS」(精神)と「CORPVS」(肉体)と「ANIMA」(魂)の文字が読めるのよね。忘れてたわ(あとは、Leo rubeus(赤い獅子=硫黄)とか水星らしき文字(つづりが後半あやしいので)とか。それ以外は読めん)。
何の扉かを言いきるには、理屈に合わんわと思って。
 
それよりももっと決定的な事実があるのを言うの忘れてたよ。
1月号でアルが真理の扉の前に立った時、すでにエドの真理の扉は無かったものね。
はい、精神の混線はすでに解かれている事は証明されてます。


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コメント

以前のコメントで「マンキンみたいな展開になりそう」と書いたら、今月号のお父様の猛攻がグレート・スピリットを駆使して主人公勢を猛攻するハオそのまんまで噴きました。(ハオも天候を自在に操り疑似太陽を作りだしてました)

>地球
舞台がこちらの世界と同じく「地球」と呼ばれる惑星、という事実は2010年1月号でなく前から提示されていませんでしたか?
17巻でのマルコーとメイの会話でもメイが「地球」という単語を出していたと思うのですが。
舞台となる国名が判明したのも連載開始から大分経つなど、物語の世界観構成に必要な舞台説明が後出しになってるところもありますが、「地球」という語が出たのは物語全体の3分の2あたりなのでそこまで後出しではないのかも。

>「父さん頑張って!!」
私もあのシーン、盾にしてるように見えてしまい残念でした。その直後のホーエンハイムの台詞はいいんですけどね。というか、元気玉を飛ばそうとしているように見えてしまいました(笑)

あとラースの最期のシーン、4巻でウィンリィがヒューズに言ってた「やっぱり口で言わなきゃ伝わらない事もありますよね」という台詞とちょっと矛盾する気はします。なんだか、亭主関白を強調しすぎるような。でも夫人が夫の死を知らされる場面が描かれて、一見温室育ちのお嬢様っぽく見える奥さんもだてに大総統の妻をつとめてるわけじゃない、ってことがわかるような台詞が出そうだと思います。

>精神の混線
私はアレは描写的なもの(アルの魂とアル肉体との対話のシーンだからわざわざエドの真理扉を描く必要はない)で、まだ精神の混線が解かれたわけじゃないと予想しています。
混線を解くには二人同時で真理の扉を開けないといけないのかな、と思っておりますので。

きゃー!記事アップ、待っていました。ありがとうございます!
自分はもう思考が停止してしまってて、ただ「もう何がなんだかわかんねえよ」って記事を上げてしまいましたが、
りほさんの記事を読んで、いろいろ「ああそうだったのか!」と思える所がありました。
鋼の副読本を書いてもらいたいくらいです。そんなものが必要ていうのはどうなんだってのはさておき(苦笑)

いくつか共感した場所を抜書き。

>「鋼の錬金術師」はロー・ファンタジーのように見せかけているが、れっきとしたハイ・ファンタジーだ。この世界のルールは全て著者の手の中にある。
>今まで何も提示してこなかったツケがここに来て膨大に襲いかかってきてる。
>うん。エド達のいる世界が球体の惑星上にあり、その星の名前が「地球」だったって、先月号ではじめて私は知ったよ。

ハイ・ファンタジーという言葉をココで初めて知ったんですが、確かにそのとおりですよね。
太陽と月は確かクセルクセスの遺跡にも出てきてたから、まあわかるんですけど…。
リアルの錬金術と鋼の錬金術は違うはずなのに、時にリアルでそうだから鋼もそうだ、って前提になってるところが混乱します。

あと、
>イズミの修行って、錬金術を身につけるうえで本当にすこぶる模範的なものだったんだ。
>体術を身につけることでどのような衝撃がどのくらい相手を傷つけるかを学び、そのうえで錬金術を身につける。

>自分を突き放した神への、そして戯れに自分を生み出した錬金術師=人間への、長い年月をかけた復讐劇なのかもしれない。

>だから、これは贖罪だ。ホーエンハイムは文字通り命を削る贖罪の旅に出ていったんだ。

りほさんの解釈に感動です…!
なるほど、そういうことかと納得しました。
この辺りのところ、本編で語られることってあるのかなあ?
時間かけて、描写してもらいたいなあと願うんですが…。

あとここw
>遺言などなくとも、妻は全て分かってくれている。
>莫迦莫迦しい。それって単なる惚気じゃないか。

デスヨネー。
誘拐されたときの状況を思い出すに、そんな気丈な女性にはあんまり思えないけど、と思ってたんですが、
まあブラッドレイがそう思ってるならいいかっていうか勝手にやれって言うかw
「王たる者の伴侶とはそういうものだ」って威張って言うほどのもんじゃないと思います。

なんか共感ばっかりの中身ないコメントで申し訳ありませんでした(*´v゚*)ゞ

原作25巻の表紙画像が
FA公式サイトに載っているみたいです
ご確認を~

>雉人さま
レスが遅くなってすみません。
以前も書きましたが。ごめんなさい。マンキンネタ分からないんですよー。
DBも読んだ事ないけど一般常識レベルで元気玉はかろうじて分かるだけだったり(笑)。
んでも。
読者の想像の斜め上をいく展開が売りなので「こう来るとは思わなかった」となる部分が多いので忘れがちですが、基本的に鋼の本筋は少年漫画ですものね。
ラスボスのとんでも技はやっぱりお約束なのかな。

> >地球
忘れてましたよ、17巻っ。確かにそうでした、そうでした。メイ・チャンが「地球」って言ってましたね。
でも、私が言いたいのはそういう事ではないんです。

17巻における「地球」という言葉は、「世界」とか「地下深く」と置き換えても、なんら問題のない言葉でした。
それらが今までも使われていきた言葉だったから気にならなかった。

けれど、1月号は違う。
1月号における「地球」はイコール「惑星」です。
それが、今まで構築されてきた「鋼」世界とに違和感があるんです。

アメストリスという国が「地球」という惑星上に存在している事をアメストリス人は知っている。
ということは、この世界の人達は「地の果て」が存在しない事を知っている事になります。
地球が球体である事、地平線が丸い事、水平線から船が見える時まず帆の先から見えて来る事。
このぐらいの知識は心得ているという事になります。

では何故、この国はこんなにも閉鎖的なんだろう?
国境を接していない他国と国交を持つ事でもっと楽に、四方の国を牽制し追い払う事も出来るはず。
これだけの軍事力があるのだから、植民地により国がもっと潤う方法も考えられるはず。
軍を逃れ新しい土地の開拓者となる人々がいてもおかしくない。

確かにアメストリスは軍事力が強いかもしれない。
昔はシンまで続く鉄道があったのに今は廃れてしまったというのも、軍の規制が入ったからかもしれない。
けれど、東部の田舎のヨキがお金で軍の地位を買えてしまう程度に軍は腐敗しています。
国が開かれれば甘い蜜が吸える。そうと分かっていながら、何故富裕層が金儲けに奔走しないのかが不思議です。

例えばこうは考えられますよね。お父様によって全て情報操作が行われているのではないか、と。
お父様にとって、アメストリスの国民は賢者の石を作る為のブロイラーです。
余計な知識を与えて、他国に逃げられては困る。
国は広げても、国土錬成陣に使えない飛び地を広げられては意味がない。
人々に外の国の情報は与えてはならない。国外に夢を持たせ、他国に逃げられては困る。
飛行機もダメ。アメストリスと他国を比較できるようなものを与えてはならない。
 
そのために情報操作を行っている可能性は確かにあるでしょう。
 
けれどもしそうであるならば。
「惑星」というキーワードは、お父様が与えたくない知識の一番最果てに位置しているのではないでしょうか。

アメストリス国の外の国を知り、その向こうに海がある事を知り、その海の向こうにも国がある事を知り、ぐるっと回って来るとまた自分達の国に戻って来れる。
そこで初めて、地球が丸い事に気づけるのではないでしょうか?
そして、太陽と月の動きを調べ、地動説が生まれ、おそらくその先に「惑星」という知識はあると思うんです。
(きちんと天文学や歴史を調べてないのでちょっとあやしいですが、それほど遠い事は言ってないと思うのですが)

ということで。本題に戻ります。
何故、エド達にとって「地球=惑星」が未知の情報ではなかったのか。そこに私は違和感を感じています。
今まで描かれてきたアメストリスに、銀河系という知識はは存在しませんでした。
太陽が常に核融合を起こしていることも、月に光源は無く、ただ太陽の光を反射して輝いているだけだということも、エド達が知っているとはとても思えなかった。
何故って、錬金術で太陽や月は、雌雄、陰陽、等を表す存在であり、実際の太陽と月を研究して語られているものではないから。

エド達の知識はまるで、月のウサギを本気で信じながら、クレーターが隕石の衝突によるものだと知っているような、なんとも不可解な状態に感じられてしまうんです。
  
キリスト教が長らく地動説やダーウィンの進化論を認めなかったように、錬金術師もまたそこに葛藤があってもおかしくない。まして、錬金術師は宗教家ではなく科学者です。科学によって証明されたものを彼らは否定出来ない。
その葛藤は多大なものではないかと想像出来ます。
 
でもエドは、錬金術は科学だと胸を張って言っている。
ならば、この世界にそんな葛藤は存在せず、未だ空は見上げるものであり、見下ろせるものにはなっていない。
少なくとも、そうではないと匂わせるものが今まで描かれていたか。それは無かったと私は思うんです。
  
だから。この解消法として例えば。
「フラスコの中の小人」という、全ての知識を持った彼だけが、「地球=惑星」であると知っている。
エド達には彼が何を言っているのかまったく意味が分からない。
そんな状況だったならまだ、私は納得したと思います。
 
まあ、ホーエンハイム1人くらいなら「フラスコの中の小人」から知識を教授されたなんて設定はまだ許容範囲かな。そんでもって、あらかじめエド達にすべて話していたとかね。
 
もういっそ、「フラスコの中の小人」はホムンクルスではなく、こちらの世界の人間の魂が無理やりひっぺはがされて、あのマリモに貼り付けられていた、なんてね。
こちらの世界の人間なら誰でも知っている知識を持っているってな感じのSF設定にしてくれた方が、よっぽどロジック的にはすっきり納得しちゃいますよ。
  
ま、それは冗談として。
  
何らそういった状況を予め提示して来なかったのは、やっぱり私の中では納得がいかない。
鋼世界は本当に、国民の知識と国民の生活習慣に齟齬のあるそんな国なのか。それは意図されたものなのか。

今からでもいいから、せめてその辺りの説明を入れてくれると嬉しいのですが。
 
 
>亭主関白
うんうん。分かります。
あそこ読んだ時、頭の中をさださんの「関白宣言」が流れちゃいましたもん(笑)。
このあたりのことは、FA50話の感想にも書きましたので、良かったらそちらをお読みください。 


> >精神の混線
そのあたりは、出てみてのお楽しみですね。

>さやさま
コメントありがとうございます。レス遅くなってすみません。

今回、小手先で逃げないで、いい部分も悪い部分も全部真っ向から書くって決心できたのはさやさんの記事を読んだからですよー。こちらこそ、ありがとうございますっ。

>副読本
大丈夫。私が副読本書かなくても、今FAが副読本と化してますから(笑)。
原作を読まないと内容を補完出来ないアニメは多々あれど、その逆を走ってるのは鋼くらいじゃないかと(笑)

>この辺りのところ、本編で語られることってあるのかなあ?
>時間かけて、描写してもらいたいなあと願うんですが…。
うん。私も読みたい。
色んな細かな処で破綻が出てきているのはもう仕方がない。あきらめます。
でも、グローバルな目で見たとき、それを全て許したくなるような、言葉が世界をひっくり返す、そんなカタルシスを味わいたいですよー。
 
>デスヨネー。
>まあブラッドレイがそう思ってるならいいかっていうか
>勝手にやれって言うかw
雉人さんのコメントレスにも書いたんですが。
私ここ、さださんの「関白宣言」流れちゃってますよー。
無茶苦茶な亭主関白な事を言っているようで、単にラブラブ? みたいな。
何というか。これもある種のツンデレ?(笑)
「王の伴侶かくありき」なんて口に出して言ってしまえる時点ですでに、実は奥さんの手のひらの上で踊らされてるだけだったりしてね。

>通りすがりさま
もっちろんチェックすみですよー。
ありがとうございまーすっ。

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