« ガンガン2010年7月号 鋼の錬金術師第108話「旅路の果て」ネタバレ感想 その6 | トップページ | ガンガン10月号表紙(ネタバレ) »

ガンガン2010年7月号 鋼の錬金術師第108話「旅路の果て」ネタバレ感想 その7

存在意義という存在

荒川先生は、インタビューで「錬金術=エドの存在意義」という言い方をした。
もとい、そう受取れる文章だった、と言っておこう。
でも、本当にそうなのか?
錬金術は、エドの存在意義だったのか? 人間の「存在意義」ってそんなお軽いものなのか?
どうしてもここが引っかかっている。
 
荒川先生は「私からまんがをとりあげるようなもの」と例えていたけれど。
もしそうなったら確かに「漫画家 荒川弘」は存在しなくなる。でも。
「人間 荒川弘」がいなくなるわけじゃない。
農業学校出身で、昔、空手を習っていて、三国志が好きで、実家が農家で、2歳の子供がいて。
その、荒川弘(本当ならここで本名を書きたい処だが、残念ながら知らんので)という存在が消えるわけじゃないし、「荒川弘」に存在意義が無くなるわけじゃない。
 
わたくしごとで恐縮だけど。
フラメンコを長年やってます。プロではないけどお金を貰って踊ってます。
何年も舞踊団にあがれず、悔し泣きを繰り返し、先に舞踊団にあがった友人の靴にガラス片を入れたくなった時期もありました。
そのぐらい執着してやっと舞踊団の座に着きました。
にもかかわらず、今度は毎年のように病気による長期休養を言い渡されその度に泣いて。
百日咳、顎関節症ときて、今年のはじめはメニエール病。
聴力が極度に落ちて、耳鳴りがひどい、雑音ばかりで音が聞こえない。これじゃあ。
「アルの声が聞こえなくなるじゃないか!」(爆)と思ってしまったのも本当だけど(笑)。
フラメンコを踊る者としては本当に致命的で。
なんで自分はこんなにフラメンコの神様に嫌われなきゃいけないんだ? って八つ当たりして泣いて泣いて(おかげさまで、薬が効いて無事直りました)。
そのくらいには好きです。でも。
 
フラメンコが自分の存在意義だなんて、毛ほども思ったこと。ないんだよなぁ。
だってフラメンコがなくったってあたしはあたしだ。
 
話を戻す。
「錬金術」がエドの「存在意義」というのであれば、それを失ったエドに「存在意義」は無くなったのか?
エドは存在する必要の無い生き物になってしまったのか?
錬金術がなくてもエドはエドだ。それ以上でもそれ以下でもない。
ホーエンハイムという父親、トリシャという母親、アルフォンスという弟がいて。
左脚には幼馴染の作ってくれた機械鎧をつけている。
右肩には機械鎧だった頃の傷跡が残っている。
ケンカっぱやいくせに敵を殺せない。身内を傷つけられるのは苦手。
ロイ・マスタングやオリヴィエ・ミラ・アームストロングと渡り合える肝の太さを持っている。
カーティス夫妻を両親のように慕い、敵だったキメラやホムンクルスさえ味方にしてしまう懐の深さがある。
 
出会うきっかけは「錬金術師 エドワード・エルリック」だったからという人達もいる。
けれど、「出会い」が「付き合い」に繋がったのは「ただのエドワード・エルリック」という存在をみんな気に入ったからだ。
 
エドが「みんながいるさ」と言ったのはそういう意味じゃなかったのか?
だって「エドワード・エルリック」に「存在意義」がないわけ、ないじゃないか。
(上の文章を書きながら今、FA版の真理の扉の前で、エドの名を呼ぶみんなの声がうわっと頭の中を過ぎった。入江監督も、やっぱりそういう風に解釈したって事なんじゃないかなとかちょっと思ってみたり)
  
呼吸するように錬金術を使い、錬金術が万能だと信じ、錬金術無しでは生きていけない。錬金術があれば望みは全て叶うと。
それは「存在意義」ではなく「依存」と呼ばれるものなんじゃないだろうか?
 
スカーに右腕を壊されて錬金術を使えなくなった時だってエドは至極冷静だった。
別に困った様子もなかった。
なまじあの時の平気な様子をみているから。え? エドにとってそんなに大事なものだったの?? と思ってしまったのも否め無い。
 
ここで、もろ、こう、依存症のようなヤバイ状態を見せてくれていたら、すごく納得したろ……あ、あぁぁぁっ。
そうかっ。
だから、FAではあそこまでエドは立ち上がれないほど、いっそ不自然なほど、ショックを受けてたのか。
うわーっ、いきなり納得したよっ。
  
あぁぁぁぁぁもったいない。
原作でもあらかじめその答えがでていたなら、すげえいい伏線が色々貼れただろうに。 
  
「人は何かの犠牲なしに何も得ることは出来ない。
何かを得る為には同等の代価が必要となる。
それが錬金術の等価交換の原則だ
その頃ボクらはそれが世界の全てだと思っていた」
 
おなじみの、水島版アバンだ。
ならば荒川鋼はこうだろう?
 
「人は錬金術によって幸せになることが出来る
それが錬金術の存在意義だ
あの頃オレらは錬金術が世界の全てだと思っていた」

« ガンガン2010年7月号 鋼の錬金術師第108話「旅路の果て」ネタバレ感想 その6 | トップページ | ガンガン10月号表紙(ネタバレ) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« ガンガン2010年7月号 鋼の錬金術師第108話「旅路の果て」ネタバレ感想 その6 | トップページ | ガンガン10月号表紙(ネタバレ) »