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2010/11/27

ガンガン2010年7月号 鋼の錬金術師第108話「旅路の果て」ネタバレ感想 その16

1分で分かるなんとか、みたいな感じでとりあえず今まで感想をまとめてみました。  
  
・もしアルが元の世界に戻れなかったらエドを恨んだ(ネタバレ感想 その1
・いつだってエドは叫び続けていたのかもしれない(ネタバレ感想 その2
・エドの左脚はドコへ行ってしまったんだろう?(鋼の錬金術師FA63話と、鋼の錬金術師108話の狭間で(両方のネタバレ含みます)
・誤読させた構成(ネタバレ感想 その3
・いいシーンを描く事だけを優先した(ネタバレ感想 その4
・エドに錬金術への感謝の念はなかったのか(ネタバレ感想 その5
・エドにとって錬金術は”世界”であり”真理”であり”おまえ”(=自分自身)という考え方(ネタバレ感想 その6
・あの頃エド達は錬金術が世界の全てだと思っていた(ネタバレ感想 その7
・真理の扉はサーバという考え方(ネタバレ感想 その8
・錬丹術を紐解く時アルは父親に出会う(ネタバレ感想 その9
・妄想の隙を与えなかった後日談(ネタバレ感想 その10
・分かりやすさを代償にしたレトリック(ネタバレ感想 その11
・エドが俺、アルが僕になる瞬間(ネタバレ感想 その12
・明確に伝える努力はなされたか(ネタバレ感想 その13
・何故エドの言葉に感謝の念がなかったのだろう(ネタバレ感想 その14
・パワーバランスは崩壊した(物語におけるパワーバランス
・見たかったのは必死にあらがい打ち勝つ姿(喧嘩を売る人(ネタバレあり)
・アルの声はくぎみー以外考えられない(やっぱりアルが好き!
・ちぐはぐで危なっかしいアンバランスに魅了され(マルチタスクの必要性、あるいは閉塞からの脱却(ネタバレあり)
・過去を踏まえて語られなかった物語(
ネタバレ感想 その15
・面白さのピークは何パーセント?(一番酷いファン
  
壮観っ。こうやって並べるとまるで本のサブタイを並べたみたいだわ(笑)。
最終的な感想はあとでこの下に書きます。
書きました。ついでに上のリンクを二つ追加しました。
さて。
    
さんざん色々書いてきましたが。
コミックス27巻が発売されて。改めてそれだけを読んだら、実は結構面白く読めたんですよ。
いや参ったね。
相変わらず、グリードの台詞には受け取れねぇよなぁとか、ここでホーエンハイムが笑うのは解せねぇとか、せめてこのエドの拳に賢者の石を使わない意志がしっかり乗っていればなぁとか。
「あきらめろって言わなかったじゃないか」の台詞はやっぱりイヤだなぁとか。
不満たらたらなのは変わりませんけどね。
なんだちゃんと面白いじゃん。
 
27巻折り返しの「感謝のことばを~」には苦笑するしかなかったですけどね。
私の上の記事の2つは、エドは感謝の念が足りんって内容ですが、何か? みたいな(笑)。
語弊を承知で言うと、書かれている事は立派なんだが行動が伴ってないんだよなぁ。
上記然り。記事中にも書いたけど。
言葉にすることが大切と言いながら、作品自体は言葉不足で上手く伝わらなかったり。
対話が大切と言いながら、途中で対話を放棄しちゃう。
人外を人扱いし「人殺しは勘弁」と言わせておきながら、人外殺しを容認。
   
本当は誰よりも一番「鋼の錬金術師」を理解していなければならないはずの作者が、過去キャラクターに何を言わせ何をさせたのかスコーンと忘れた状態で描いてしまっていたんじゃないかと。
なんだかもう本当に全てにおいて近視的というか。
とりあえず締め切りに間に合わせる事だけで手一杯だったんだなと思う。
  
だから過去は全て横に置いて27巻だけの物語として読む分には申し分無く楽しめる。
ネタバレ感想 その15 に書いたような矛盾も発生しないからモヤモヤしない。ほーら万々歳だ(皮肉か?)。
    
私が毎月楽しみに読んでいた頃、毎月「あれ?」と思える箇所があった。「今なんか引っ掛かったぞ」。そう思うと。必ずそれは伏線として作用し次号で回収されていた。
その感覚がさ。もう本当に感動だったのよっ。まさかうちのブログの感想記事を読んでいるのか? と思うくらい的確で。
「まさに打てば響くってこういう事を言うんだぁ」って当時本当にゾクゾクするくらいその幸福を噛みしめてた。
毎月作者とのタイマン勝負のようで本当に楽しかった。
ところがだんだん「あれ?」と思っても次号でそれは回収されなくなっていった。
じゃあ来月号なのかな? その次かな?
そうやって待っているうちに「それは伏線ではなく作者のミスだったんじゃないのか?」そんな考えが過ぎっては否定して否定して、いつかきっと伏線が回収される事を信じて。
決定打をくだされたのが最終話。
矛盾は矛盾のまま何事も無かったように物語は終わった。
  
FAはね、そんな荒川先生のミスを、物語を壊さないギリギリの範囲で丁寧に拾って回収してくれた。
だから大好きっ。
私の中で荒川弘の大好きだったもの、そして荒川弘が失ったものをFAが引き継いでくれた。
私が「鋼の錬金術師」に幻滅しないで済んだのは絶対FAのおかげ。
それは本当に本当にささいな一言の追加だったり削除だったり表現の変更だったり。
「ほんのちょっとこう変えれば納得いくんだから。鋼を全否定しなさんな」
毎回そう言われている気分だった。
だから本当にFAには感謝してる。どんなに言葉を尽くしても足りないくらい感謝してる。
閑話休題。
 
過去からの矛盾全部に目を瞑れば充分楽しめる事は分かった。
それでも引っ掛かってしまったのはラストシーンだなぁ。
「終わりよければすべて善し」とはよく言ったもので。
小説とか、映画とか、舞台とか、マンガとか、アニメでもいい。
話の流れとか、大まかな流れすら記憶になくとも、最後の1文、最後のワンシーンだけは覚えているものってない?
あたしはあるぞ。すごくある。
 
「オリエント急行の殺人」(映画)の最後にグラスを交わすシーン、「十二人の優しい日本人」(映画)の部屋から出ていくシーン、「フランス白粉の謎」(小説)の最後にみんなが犯人に飛びかかるシーン、「ストレート・チェイサー」(小説)で明かされる一人称の意味。「魔術はささやく」(小説)の「うちに帰るんだよ」。「火星年代記」(小説)の百万年ピクニック。「JSA」(映画)の二人が偶然一緒に写っていた写真。「ダンバイン」(アニメ)のチャム・ファウが飛び立つシーン、「シャンバラ」(アニメ)の二人で空を見上げるシーン、「ポーの一族」(マンガ)で日記を綴り始めるシーン、「はみだしっこ」(マンガ)のグレアムの告白。「スケッチブック・ボイジャー」(舞台)の「夕顔なんて大嫌いよ。でも私はね。世界中の片思いの女の子の味方!」、「アローン・アゲイン」(舞台)の「ひとりで行けるさ もっと遠くへ」。
  
どんなエピソードが連なっていたかは思い出せなくても、ただひとつ。
辿り着いた結果により得た感情が描かれているあるいは想像出来る。ただそれだけでいい。
何の変哲もない平凡極まりない台詞やシーンでいい。
物語が終わりそこから日常がはじまる(銀英のパクリのようだ・笑)のだから。
だからこそ。物語の最後にそこに到達した時ずしっと重みを増す。
それが私にとって最高のラストシーンなんだと思う。
  
「痛みを伴わない云々」のナレーションが矛盾をはらんだ捻じれ文である点を差し引いたとしても。
プロポーズは別に物語が最終的に産み出した結果じゃないし、写真達は本編で描かれていない物語の結末だ。そしてエドがこの物語の結果により得た感情は描かれていない。
だから私の趣味には合わないんだろうな。残念だ。
  
だからホーエンハイムの死がラストシーンだったら良かったと思うし。
そうじゃないならせめてFAの「でも 兄さんも僕もそれだけじゃないんだよ。見てみたいんだ、世界の広さを」がラストシーンだったら良かったのになぁ、とまだ言ってみる(爆)。
      

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0100 鋼原作感想」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。おじゃまします。
コメント、どうもありがとうございました!
すごくすごく、嬉しかったです^^

最終話の感想がシリーズ化しているのですね!
タイトル見ただけでワクワクするのですが、今はぐっとガマン。
27巻の感想を書き終えたら、あらためてじっくり拝読いたします。
すごく楽しみ~^^

投稿: asagi | 2010/11/28 02:39

>asagiさま
うわぁ、わざわざお訪ねありがとうございます。
こちらこそ、嬉しかったです。
 
最終話の感想はかなり批判色の強いものも多いので、どの程度お気に召すか分かりませんが。よろしかったらどうぞ。
お待ちしています。

投稿: りほ | 2010/11/29 00:39

こんにちは。度々すみません。

たった今、最終回のネタバレ感想全て拝読したところです。
たいへん読み応えがありました。
「そうそう!私もそう思った!」と ぶんぶん首を振ってしまうところもあれば(笑)、私なんか到底及ばない深~い考察に感動したりも。

私は、連載終了後の荒川先生のインタビュー記事をひとつも読んでいないのと、FAもコミックス26巻に追いついた時点で観るのをやめてしまったので(録画はしてます)、りほさんの記事で初めて知ったことも多かったです。
とりあえず、FAは最後まで観なければ(笑)

新井素子の「ブラック・キャット」シリーズ、読んでいらしたのですね!
千秋が養母に言われたあの言葉、私もすごく印象に残っています。
「人は、自分が人にしてあげたことは過大評価しがちで、人にしてもらったことは過小評価しがちなの」でしたっけ。

最終話についてのもやもやは、私も引き摺ったままですが、りほさんのように真摯に 突き詰めて考えたことがありませんでした。
読めてよかったです!
どうもありがとうございました。

投稿: asagi | 2010/12/03 16:56

>asagiさま
お疲れさまでございます(笑)。

わたしもasagiさんの感想を読ませていただいて、首をぶんぶん振りつつ、にやにやしてました。
特に「感謝のことば」に「本当にそうだったっけ?」というアプローチをしている記事って自分のとこ以外で読んだことが無かったので、すごく嬉しかったですっ。
    
26巻以降FAを観てないって事は、エドの最後の錬成陣を書くシーンを観てないって事ですよね。真理との会話とかも。63話(最終話1話前)の終わり方もすごくいいですよっ。
すべてが終わった後にロイが取った行動とか、マルコーさんの台詞とか、リゼンブールに帰るエドとアルの会話とか、ウィンとの再会シーンとか……上げだしたらキリがないやっ(笑)
もう本当に色々原作とはまた違う解釈を乗せてくれているので面白いですよ。是非楽しんでください。
  
あ、やっぱりあってましたか。「ブラック・キャット」。
よかった。
パラパラ読み返してみたんですが、どうにもそのページがでてこなくて。記憶違いだったかなぁと首を傾げていたんですが。
そうそう、千秋の義母が言っていたんですよね。

最終話のことは本当に残念でしたけれど、それでもやっぱり過去に遡れば途中までの話は面白かったと思うし、大好きだった気持ちは薄れるでもなし。
アニメは水島版もFAも両方とも好きですし。
ゲームは実況見るだけの人なのだけど、暁の王子~黄昏の少女のラストシーンとかすごく好きだし。
とりあえず、今は劇場版を期待してます(笑)。

投稿: りほ | 2010/12/12 11:23

はじめまして。もう何年もこちらのブログを拝見しておりました。
初コメントで緊張しています(笑)
こんなにじっくり考察ができるなんてすごい!と思い、過去の記事も全部読ませていただきました。

最終回については…初読の時は、ちょっとページ数と時間が足りなかったのかなと思いましたが、私は満足しました。
だから、りほ様の感想を読んで落ち込んでしまいました。私は読まない方が良かったのかもなぁとも思いました(後でも書いていますが、今は全然そんなことありませんよっ!)。
自分は本当に鋼が好きなのか?と悩んでいました。

でも最近はやっぱり「鋼はいい漫画だ!好きだ!」と思っています。
何と言いますか…「鋼は完璧だから好きだ!」が、「完璧じゃないけど好きだ!」に変わった感じです。…う~~んうまく言えませぬ…

そして、やや盲目気味だった私に、違う考え方を与えてくださったりほ様に感謝です!
このブログを読み続けて良かった、と思いました。

もちろんこれからも読ませていただきますので、よろしくお願いします(笑)
はじめましてなのに長々と、しかもまとまりがなくてすみません…

投稿: 蘭芳 | 2010/12/13 20:41

>蘭芳さま
はじめまして コメントありがとうございます。

>「鋼は完璧だから好きだ!」が、「完璧じゃないけど好きだ!」に変わった感じです。

「不完全だからこそ美しい」なんていうのが水島版最終話のロイの台詞にありましたね。
まあ、それをここで肯定するかどうかは別としまして(笑)。
「完璧じゃないけど好き」。そう思えるのなら素敵ですね。
 
欠点だらけの作品だったとは思うんです。
でも、ベストテンの上位に入ればやっぱり嬉しいし、糞呼ばわりされれば腹も立つ。だけど大団円万々歳と書かれればそれはそれで腹が立つ(笑)。
そんなん「鋼の錬金術師」の真の面白さと違うわっ。
その「真の面白さ」とやらが本当に存在したのか、当時の私が盲目的過ぎてそう見えただけだったのか分かりませんが(笑)。
やっぱりあったはずだと思いたいです。
 
多分まだ、少なくとも夏の上映まではここで鋼語りをしていると思います。
良かったらまたいらしてください。

投稿: りほ | 2010/12/20 23:58

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