« 祝 ご結婚 | トップページ | ひかりTV 深すぎてゴメンナサイ~鋼の錬金術師 »

ユリイカ 2010年12月号 感想14

二つの「鋼の錬金術師」  藤津亮太
  
これは、ネタ的にサクサク書けると思っていたんですけど。
つい回顧録になってしまって意外と書きづらい。何度頭から打ち直した事か。
  
まずは誤記を訂正していただきたいよなぁ。水島版は50話じゃないやいっ。51話だいっ。

  
とりあえず。
1983~1984年だけだと分かりづらいので、その前後も含めて放映作品をあげてみる。
wikipedia調べ。あ、全部じゃないです。当時観ていたものや、アニメ誌で扱いが大きかった(つまり私が記憶している程度には目についていた)もので拾ってます。

1982
TV 原作付:スペースコブラ、ときめきトゥナイト
TV オリジナル:マクロス、ザブングル、ミンキーモモ、アクロバンチ、バクシンガー
映画 原作付:千年女王、ゴッドマーズ
映画 オリジナル:ガンダムめぐりあい宇宙編、イデオン接触篇・発動篇

1983
TV 原作付:キャッツ・アイ、キャプテン翼、キャプテン、みゆき
TV オリジナル:ウラシマン、ボトムズ、ダンバイン、サスライガー、プラレス3四郎、クリィミーマミ、オーガス、バイファム
映画 原作付:うる星やつら オンリー・ユー、クラッシャージョウ、幻魔大戦、ヤマト 完結編
映画 オリジナル:ザブングル グラフィティ、ダグラム

1984
TV 原作付:夢戦士ウイングマン、北斗の拳、ホームズ、ふたり鷹、ガラスの仮面
TV オリジナル:エルガイム、モスピーダ、巨神ゴーグ、ガリアン、サザンクロス
OVA オリジナル:バース、くりぃむレモン
映画 原作付:うる星やつら2 ビューティフルドリーマー、風の谷のナウシカ、綿の国星
映画 オリジナル:マクロス 愛・おぼえていますか

1985
TV 原作付:タッチ、三国志、不思議の国のアリス、小公女セーラ、奇面組
TV オリジナル:Ζガンダム、ダンクーガ、トランスフォーマー、レイズナー
OVA オリジナル:メガゾーン23、幻夢戦記レダ、天使のたまご、イクサー1
映画 原作付:うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ、銀河鉄道の夜
映画 オリジナル:ゴーショーグン時の異邦人、クリィミーマミ ロング・グッドバイ 、ミンキーモモ 夢の中の輪舞

さて。要約すると。
水島版はこの時代くらいまでの原作付によくあるアレンジ性が施す手法が取られ、FAは1990年代以降の原作準拠の手法が取られていると。
そのアレンジの例えがハーロックのまゆであり、さすがの猿飛の忍豚ね。
まぁ、「うる星のビューティフルドリーマー」なんて完全に押井作品だよね。評価は高いけれど原作の高橋さんは嫌ってるらしいし。
押井さんは今も変わらないよね。「スカイクロラ」もまた押井作品であってあの森博嗣の文字が吹けば飛ぶような扱いだった。
會川さんは、クリエイターとして、自分色を出さない作品を作る意味がどこにあるのか。というような事をインタビューでも答えているくらいの人。
 
別に時代は関係ないように思う。干されようが何しようが、會川さんのスタンスは変わらなそうだもの(笑)。

アレンジをかけるか原作準拠とするか、それはまずスタッフの方針やポリシーによって変わるって話じゃないかなってのが、まずひとつ。
  
  
それに。
今の作品ってそんなに原作準拠? 昔の作品ってそんなにオリジナリティ豊かだった?
そもそも「鋼」は、原作が2巻しか出ていない状態で4クールなんてどう考えたってオリジナルを入れないと無理に決まってた。「ハーロック」だって、「さすがの猿飛」だって、原作をそのままアニメ化するには無理があったから変えた。それは変わらないんじゃないかな。
だからね。アレンジの傾向が強い作品について言えるのはこういうことじゃないかなと思う。
 
ブレイクしている作品をアニメ化するのではなく、作り手が面白いと思っているが未だブレイクしていない作品をアニメ化することで、ファンにその面白さをより分かり易く知ってもらう為にオリジナルストーリィやオリジナルの設定が作られる。
   
当時の「鋼」がまさにそれだ。
「コブラ」「キャッツ・アイ」「北斗の拳」別にどれでもいいけど。少なくとも私はアニメ化で知った作品だ。
当時の雑誌やコミックスの売上なんて知りようもなく、友人間での人気しか分からないけれど。
読んではいたけどアニメ化が決まって「これって人気作品だったの?」と驚いたのが「キャプテン」「ウィングマン」。
「ホームズ」は劇場版で話題になっていたとは言え、原作自体は長らく読まれていても只今ブレイク中作品ではない。「アリス」「小公女」「三国志」も同様、原作は昔の作品だ。
同じ作者でも「みゆき」よりは「タッチ」の方が、「ふたり鷹」より「エリア88」の方が人気が高いと思っていたから「何で、こっちなの??」と不思議に思った。
 
つまり。
大人気すわアニメ化という流れではなかったように思う。
今と違いスタッフには読者像が見えづらい。
作品にファンがいるのか、作者にファンがいるのか。手探りでそれを確認するよりも、むしろ。
そういう作品だからこそ、スタッフは手塩にかけて(原作準拠が手をかけていないとは言わないが)自分達がこの作品をブレイクさせてやろうという気持ちで動いていたんじゃないのかな?
 
そして今のように読者が見えている場合そこに判断要素が立つ。
ブレイク中の作品の視聴者筆頭はアニメファンじゃない、原作ファンだ。
それを取り込む為には、自然と原作ファンに寄り沿う形にならざるを得ないんじゃないのか?
 
アニメ夜話の水島監督のインタビューにもこうある。「シード」のファンをそのまま取り込めと思っていた。
鋼は原作ファンをあてにしてのアニメ化ではなかった。
 
スタッフやアニメスタジオの名前でアニメファンの吸引力にするか、原作の名前で原作ファンの吸引力にするか、そこの違いなんじゃないかなぁ。
そこでまた、原作準拠にするか、オリジナルを入れていくかが、変わっていくんじゃないかな。
 
 
んじゃ、FAは原作ファンに寄り沿っていたかというと、違うと思っているのだけどね。
でなきゃ、水島版でやったからって1クールをあんなに短縮したりしないでしょ(笑)。
 
原作ファンをいい意味で裏切る事に無心していたと思う。
私がFAで好きなシーンってFAのオリジナルシーンの方が多いのだもの。
もしくは台詞はまったく同じなのに予想を裏切る演技。
5話[哀しみの雨]はねぇ、もう色々観るのがキツイくらい苦手なんだけど。
アルのあの静かな怒りはすっごい好きっ。
あれは想像してなかった。でも同時に「ああ、確かにこれがアルだ」って思えた。
入江監督がインタビューで、あれをやりたかった箇所のひとつにあげていてすごい嬉しかった。
入江監督がやろうとしていたのは、原作を読者が想像した通りに構築することじゃない。
原作をホンの少し見方を変える事で新しい鋼を見せる事。
水島版とはまた違う、理解分解再構築の形だったと思っている。
スカーの怒り。ウィンリィの嘆き。エドのあがき。
原作では伝わりきれてなかったものがすっと入ってきた。
 
だから、藤津氏が3話を指して原作そっくりの構図云々と書かれているけれど。
私的にはアレは初期のスタッフ間の意思疎通が取れていない頃ゆえの失敗部分だと思っているので。
そこだけを見て原作準拠だと評価されているのが、どうにもおも歯がゆい。
ちゃんと全話観たの? 1クールと最終話だけ見たんじゃないの??
どうも、そう言いたくなっちゃうんだよなぁ。
 
 
あ、そうそう余談だけど。
あの頃をアニメ冬の時代と書かれているけれど。それはTVに限る話でしかないように思う。

1983年,4年つったら。
アニメスタジオ アートランドの最盛期で、公式ファンクラブまで出来ちゃってましたよ。
この頃のアニメ枠は確かにひどい。
日曜10時や14時にロボットアニメがやっていたんだから。
19時から17時に移動させられたものや、1クールごっそり打ち切られたものなどもある。
けど。
「ダンクーガ」は中の人による獣戦機隊ライブなんてやってたし、「J9」シリーズはこの数年あとも人気さめやらずオムニバスCDが発売される。
そして後に、OVAが発売されたものもまた多い。ボトムズなんて未だに新作を出してる。
 
まあTVから追い出されてOVAに逃げたと言えない事もないけれど。
「メガゾーン」や、「レダ」は当時すごい話題になっていた。「くりぃむレモン」もね(苦笑)。
このあと、1987年に「ロボットカーニバル」、「トップを狙え」、「ダンガイオー」、1988年に「吸血姫美夕」など、TVでは出来なかったであろうよく言えば野心に満ちた悪く言えば趣味に走った作品が次々発表される。
 
「メガゾーン23」は、1985年を舞台にした物語だったのだけど。
ヒロイン由唯の台詞から、こんな影のコピーがあった。
「今が一番いい時代だと思うから」
まさにあの頃のアニメファンにとって、そんな時代だったと思っている。
  
 

« 祝 ご結婚 | トップページ | ひかりTV 深すぎてゴメンナサイ~鋼の錬金術師 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ユリイカ 2010年12月号 感想14:

« 祝 ご結婚 | トップページ | ひかりTV 深すぎてゴメンナサイ~鋼の錬金術師 »