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「魔法少女 まどか☆マギカ」 ネタバレ感想

前にちょっと紹介した「魔法少女 まどか☆マギカ」の最終話のネタバレ感想です。
ご興味のない方は回れ右っ。
【追記 5/1】

どのシーンが良かったとか、誰が可愛かったとか。
そういう話は取りあえず置く。
  
最後まで観た最初の感想は、「ヌルくねぇ?」だった。
 
11話までガンガンにハードルあげていって、最後の1話がコレなの?
天下の新房監督が、虚淵氏がこんな、緩い大団円を描くなんてっ。
  
マミさんも杏子も魔女に殺されず、さやかもほむらもまどかも魔女にならずに済んだ。
ワルプルギスの夜はもう祟らない。
見滝原市はみんな助かり、キュゥべえも魔女を欲っしなくなった。
こんな大団円な展開になるなんて!
たしかにまどかは人間じゃなくなっちゃったけど、いつだってほむらちゃんの側にいるよ、ENDだし。
 
こんなの絶対おかしいよっ!(爆)
 
ところが2回、3回と見返すうちに、あれ? と思ったCパート。
 
なんで地平線が見えるんだ?
魔法少女って基本、「市」単位で行動してるんだよねぇ?
いままでこんなに四方に地平線が見えるような場所、あったっけ? 
唯一あったのは、ワルプルギスの夜に倒されたあのシーンくらいじゃないのか?
それって・・・・・・・つまり。
  
すでに人間は滅びたって事じゃないのか??
  
そういえば。なんでほむらの隣りに、マミさんも杏子もいないの?
いやBパートの最後の時点ですでにいなかったじゃん。
さやかが死んだ時は一緒に戦ってたのに。
もしかして二人もまた力の使いすぎで死んじゃった?
   
そもそも考えてみたら。まどかが作ったこのシステムが変なんだ。
今までは、キュゥべえが魔法少女という種を撒き育った稲(=魔女)を、またさらに植えた種(=魔法少女)でもって刈らせていた。いわばインキュベーターによる自給自足の世界だ。
 
けれどまどかが作った世界はどうだろう。
  
魔法少女はキュゥべえとの契約によって生み出される事は変わらないけれど。魔獣は人間の恨みや呪いによって地球上に勝手に生み出される存在だ。
  
今までは、魔法少女と魔女の比率はインキュベーターによって管理する事が可能だった。
魔法少女が魔女になる前に全て殺されてしまったら元も子もない。インキュベーターがそこはうまく調節していただろう。
 
けれどいまや、魔法少女と魔獣の間には、何の関係もなくなってしまった。
 
もし、必要なエネルギーはすでに得たとキュゥべえが地球から去ってしまえばそれまでだ。
魔獣はこれから先も生み出されてくる。
けれどもう新しい魔法少女は生まれない。あとは力を使い果たし目減りする一方だ。
抵抗出来る存在はいずれ消滅するだろう。
そして、Bパートにいたキュゥべえが、Cパートでは確かにほむらの隣りにいない。
 

「希望を求めた因果がこの世に呪いをもたらす前に私たちはああやって消え去るしかないの」
「円環の理」。すなわちこれは「円=まどか」が定めた理って事だ。
 
「神になるつもりかい」 キュゥべえはまどかに言った。
けれど、所詮人間は神になんてなれないんだ。
 
まどかが望んだの神になることじゃない。ただ魔法少女達の幸せ。それだけだった。
いつだってそうだ。魔法少女たちの願いはいつだって小さな幸せだ。
だからこそ裏目にでる。
まどかには魔法少女しか見えていなかった。
そして視聴者もこの閉鎖的な物語の構造によりすっかり目隠しされてしまったんだ。
魔法少女でも、魔女でもなくとも、人は呪い祟る事があるって事。
  
流出した裏設定の、魔獣がグリーフシードを欲しがっているとか、こちら側のほうが悪役っぽいとか。それの意味するところが実は私にはよくわからなかったのだけど。
 
Bパートでは白かったほむらの翼が、Cパートでは黒くまがまがしいものになっていた。
翼で覆い尽くそうとする様は、まどかの呪いが地球を覆い尽くそうとしたあのヴィジョンにどこか重なって見えた。
 
 
一貫してこの物語はずっと同じ事を繰り返し語り続けてきた。
 
失ったものは二度と戻らない。
良かれと思って自分の存在をかけた不条理な祈りは全て裏目にでる。
奇跡なんて起こらない。
魔法少女はいずれ魔女に堕ちるしかない。
 
「どんな希望もそれが条理にそぐわないものである限り必ずなんらかの歪みを生み出す事になる。
やがてそこから最悪が生じるのは当然の摂理だ。そんな当たり前の結末を裏切りだと言うなら。
そもそも願い事なんてすること自体が間違いなのさ」
 
まさにキュゥべえが言った通りの結末だ。
 
まどかはキュゥべえと魔法少女になる契約を交わしたのだから。
その希望が条理にそぐわないものなら歪みが生じるのは当たり前なんだ。
まどかは世界を再構築してしまった。
やがてそこから最悪が生じるのは当然の摂理なんだ。
ならば、まどかが魔女になるのもまた道理。
  
地球を亡びへと導いたまどかは、確かに最凶最悪の魔女になったんだ。
 
まどかは言う。
「希望を抱くのが間違いだなんて言われたら 私そんなのは違うって何度でも言い返せます きっといつまでも言い張れます」
だからほむらは。
いつかまどかに会える日を待ち望み戦い続けるから。
 
「希望を持つ限り救われない」
 
 
ワルプルギスの夜は別名魔女の夜とも言う。
ワルプルギスの夜の幕開きは、映画開始のカウントダウンだった。
そして物語の最後もまた映画のリールを巻く音と共に終幕を迎えた。
ほむらの部屋にあったワルプルギスの夜の手下達のシルエット絵と、最後のまどかたちのシルエットが重なって見えた。
今度は彼女達が新しい魔女になるのかもしれない。


というのが私の考察。ホントの処正しいかどうかなんて分からないけどね。
 
一見ハピハピエンドっぽく見せて。
取ろうと思えば、どこまでも陰々鬱々な展開にも読み取れるっ。
深読みし応えがあって好きだなぁー。こういう作品っ。
最終的にめっっちゃ好みの最終回でしたよ。
 
新房監督、虚淵さん、ありがとうございました。 
  
 
【追記 5/1】
しまった、上の文だけじゃ読み切れて無かった。
このアンハッピーエンド、さらにもう一度ひっくり返ってハッピーエンドになってるじゃんか。
うげっ、完全に読み落としてた。
  
11話にまどかのこんな台詞があった。
  
「ママはさ、私がいい子に育ったって言ってくれたよね」
  
これすっかりスルーしてしまってた。
そんなこと言ったけ? くらいすっかり忘れていたのだけど。
6話の、まどかとまどかママでのやりとりの中にあったんだ。
  
まどか 「友達がね、大変なの。やってることも言ってる事も多分間違ってなくて、なのに正しいことを頑張ろうとすればするほど、どんどんひどいことになっていくの」
ママ 「よくある事さ。悔しいけどね。正しいことだけ積み上げてけばハッピーエンドが手に入るってわけじゃない。むしろみんながみんな自分の正しさを信じ込んで意固地になるほどに幸せって遠ざかってくもんだよ」
まどか「間違ってないのに幸せになれないなんてひどいよ」
ママ 「うん」
まどか 「わたしどうしたらいいんだろ」
ママ 「そいつばかりは 他人が口を突っ込んでも綺麗な解決はつかないね。…例え綺麗じゃない方法だとしても解決したいかい?」
まどか 「うん」
ママ 「なら間違えればいいさ。正し過ぎるその子の分まで誰かが間違えてあげればいい」
まどか 「間違える?」
ママ 「ずるい嘘をついたり、怖いものから逃げ出したり。でもそれが後になってみたら正解だったって分かる事がある。本当に他にどうしようもないほどどんづまりになったら、いっそ思い切って間違えちゃうのも手なんだよ」
まどか 「それがその子のためになるって分かって貰えるかな」
ママ 「分かって貰えない時もある。特にすぐにはね。言ったろ? 綺麗な解決じゃないって。その子の事あきらめるか、誤解されるかどっちがマシだい?」
 
この後に、まどかママの「あんたはいい子に育った。嘘もつかないし悪い事もしない~」って台詞が来る。
ここで言ってる「友達」はさやかの事。
このあと、まどかはさやかに「間違った事」をする為ソウルジェムを放り投げてしまい、次々と真相が明らかになっていきすっかりそんな会話があった事すら忘れしまっていたのだけど。
   
11話で、ほむらの元へまどかが向かう段になってこの話題を引っ張り出してきたって事は、やっぱり意味があるんだと思う。
   
正しい事をしてきたつもりが、「自分の正しさを信じ込んで意固地にな」り、「本当に他にどうしようもないほどどんづまりになった」ほむらに。だからまどかは「間違ってみせた」んじゃないだろうか?
つまり、まどかは自分の祈りが正しいなんてはなから信じていなかった。
この祈りがこの世界にとって不条理でありならば何某かの弊害が出る事は百も承知で、キュゥべえに叶えさせたんだ。
そのうえでなお、ほむらの事をあきらめるか、誤解されるかどっちがマシかを秤にかけて、ほむらを助ける事を選んだ。
まあそのせいで世界が滅びとまで思っていたかどうかは別として、それでも後悔しないつもりだったんだろうなぁ。
そしてその想いは誤解されず、ちゃんとほむらの元に届いた。
   
その翼が呪いの色をしているってことは、もしかしたらほむらの行動は正しくないのかもしれない。
それでも最期まで戦い続けるという道をほむらは選び、どんづまりから抜け出した。
ほむらの「頑張って」の囁きが幻聴なのか現なのか分からないけれど。
それは「世界を救って」なんて意味じゃない。「間違える事を怖がらないで」って、ただそういう意味だったのかもしれない。
 
「正しいことだけ積み上げてけばハッピーエンドが手に入るってわけじゃない」から、敢えて正しくない事を積んでみせた。
それが、ハッピーエンドの書けない虚淵氏なりのハッピーエンドの付け方だったのかもしれない。
  

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コメント

たまたまここに流れ着きました。

なるほど、そういう見方もあるんですね。
深いです……。

>いえぐりさま
ご訪問ありがとうございます。レスが遅くなり申し訳ありません。
しかも、本来は鋼考察ブログなもので何のお構いも出来ず(笑)。
 
まどかは久々に最後の最後まで楽しめたアニメでした。
人それぞれに色んな解釈が許されるいうのも素敵な魅力ですね。

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