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お約束~「三月のライオン」と比較する~

「三月のライオン」の考察まとめ記事を読んでたらいきなり鋼が例に出されててびっくりした。
『3月のライオン』における奇跡・庇護・父性の扱い

三月のライオンがやってることに近いのは、『鋼の錬金術師』なのかな、と思ってたりします。老若男女が共同戦線を張る中で「ありうべき/いてほしい英雄たち」が再定義されるお話。

「三月のライオン」はボタボタ泣いて頑張れーっっと思いながら読んでる人間なので、鋼が似ていると言われるのは恐悦至極って感じなんですが(笑)

近い……近いかなぁ。
最新刊の6巻なんて、鋼でもここまでキャラクターを掘り下げてくれればいいのにぃぃぃぃ!とか思いながら読んでいたのだけど。
   
うーん。
「三月のライオン」のタイトルが“March comes in like a lion and goes out like a lamb. ”(『三月は獅子のようにやって来て、羊のように去っていく(3月は荒々しい気候とともに始まり、穏やかな気候で終わる)』)というイギリスのことわざの一部より取られている
と言うことなので。
まとめ記事の中でもあるように。
あらかじめ最後には救われてめでたしめでたしになる事を前提として、そのカタルシスを味わう為に不幸がある。
そんな感じがする。
なんてのかな。
ホントにドツボに落ち込んでるシーンよりも、そこから少しでもふわっと浮上したシーンの方が、人って泣けるものなんじゃないかな。
「苦しい苦しい辛い誰か助けてっ」て無我夢中でもがいた手の先に、差し伸べられた誰かの手がある瞬間。
「悲しいよね、苦しいよね、なんて可哀相なんだろう」っていうシーンよりも「よかったね、本当によかったね」っていう時の方がぶわっと泣くと言うか。
シャンバラだと兄さん5連発より、アルが鎧から出てきた瞬間の方がこたえる感じ。
いや、泣きポイントって人それぞれっだと思うから、一概には言えないと思うけど。
そういうのをすごく意識して物語に波を起こして描いてるなぁと思う。

鋼はさ、そうじゃないんだよ。もっとマンガちっく(いやマンガだし)。んー、ジャンプ的? 歌舞伎的?
鋼の面白さのひとつは様式美にある。
来るべき処に来るべきものがちゃんと来る。その小気味良さ。
それは台詞だったり登場人物だったり様々なんだけど。
お約束を必ず守ってくれるその安心感。
誰かが危機に陥ると、銀河美少年颯爽登場! みたいな?(笑)
「よ、待ってました!」と声を掛けたくなるようないいタイミングで助けが入る。
特撮ヒーローもののお約束のような。
キターーーーーーーーーー!!! なんてコメントが似合っちゃう感じ(笑)。
来るべき処に、来てほしいものがババン!と来る。
その痛快さを楽しむのが鋼であって、そこにリアリティの無さを語るのはヤボ。
 

だから。
ロイがリザか人体錬成かを決断するシーン。
あそこのお約束は違う。そうじゃないんだ。
あの場面でやって欲しかったのは、ロイが自分の意思だけで決断を下す事。
「さぁっ」「さぁっ」「さぁっ」「さぁっ」「さぁっ」「さぁっ」「さぁっ」「さぁっ」
と掛けあいの末にババンっとロイの決断の台詞が来る。
それこそ、これから先ロイがどう動くつもりでいるのか、自分の意志を明確に示す大切な台詞だ。
その次に来る台詞は「良く言ったっ」でも「ちょと待った―」でもどっちでもいい。
あそこはそうやって、ザンパノとジェルソが現れるのが、お約束なシーン何だ。
10巻の再来だ。
アルが「自分の非力のせいで人が死ぬなんてもうたくさんだ」と言ってリザの盾になる
そこへロイの「良く言ったアルフォンス・エルリック」の台詞が入ったあのシーン。
そのパターンの踏襲なんだと脳みそも心ももう身構えていたんだ。

けれど、ロイが意思を明確に示す前に、もう助けは来てしまった。
何の助けがなくともロイは人体錬成はしないと本当に言えるのか?
決断を下す機会を失ったロイが、あとで口先で何を言おうが、そらぞらしい。
楽屋に戻ったら、けろっと、「いやぁ、ホントはリザを助けようと思っていたのだよ。その前に助けが来てくれてよかった」なんて言ってるんじゃないの? なんて客席からはひそひそひそ。

かくして、名場面への期待は見事ぶち壊し、客席は掛け声を掛けるタイミングを失った。

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コメント

こんにちは。

思い出す度、私の中でぶすぶすと燻り続ける第101話(笑)

なんで大佐に決断させてくれなかったんだ!と、自分とこでさんざん愚痴ったら りほさんが「そうそう!」とコメントを下さって、同士を得たようですんごい嬉しかったのでした。

>決断を下す機会を失ったロイが、あとで口先で何を言おうが、そらぞらしい。

ほんとにねー。私は大佐大好きなんですが、あの後ブラッドレイに言った台詞には「何をエラそうに」って思いましたね。選んでないくせに。
あそこで中尉を見捨てる決断をしたらファンからのブーイングがすごそうで、荒川先生はそれが怖くて逃げたんだろうか?とか。
それとも、部下に「死ぬな」と命令した手前、それが足枷になったのかとも思いましたけど、だからこそ敢えて決断させて欲しかったのに。

あ、クロニクル、インタビューと対談は斜め読みだったので、りほさんの感想を拝読した後、あらためて読み返してます。
各ツッコミに「なるほどー」と感心しつつ(笑)

羽海野先生のすごい所はあのクォリティでなお成長し続けていること。

「銀の匙」を見る限り今回は荒川先生もとことん主人公の悩みに付き合ってくれそうなので、まだまだ挽回の余地はあると思います。
でもこの二人、感情表現の描き方が違うような気がしないでもない。

>asagiさま
あはは。
いやもう、asagiさんの記事を読んで、ここにもう一人自分がいるっって思いましたから(笑)。

>あそこで中尉を見捨てる決断をしたらファンからのブーイングがすごそうで、荒川先生はそれが怖くて逃げたんだろうか?とか。
うわー、嫌な考えが浮かんでしまった。
どっちの決断であっても、そのことでロイに幻滅するなんてしなかったと思うんですよ。
その決断がロイ自身の意志で決めた事であるなら誰も文句なんて言わない、納得したと思うんです。ファンなら。
それだけのことを彼は今までして来たんだから。その信頼を勝ち得ていたにも関わらず。
誰よりも荒川さんがロイと読者を信頼していなかったって事なのかなぁ、と思うと……orz

感想というか愚痴ばっかですみません。ホントはこんな愚痴をねじ伏せてくれるような内容を期待していたんですけどね。
というか、そもそも「クロニクル」が何なのか、編集部は分かってこのタイトルを付けたのか疑問何ですが。
全然「年代記」になっていないという……。

>ぽんずさま
んー、サンデーは毎号読んでいるので銀匙も読んではいるけれど。正直もうかなりギブです。
荒川さん的には、八軒を農業を知らない読者の視点と捉えているのでしょうけれど。
あまりの無知というより無恥ぶりに、感情移入出来そうも無く。
また荒川さんが読者をそこまで非常識な阿呆と捉えているのかと思うと、それもまた……。

体育祭シーンは「命」も「農業」も「友情」も関係なくすっからかんな状態で描いていて楽しく読めたんですけどね。

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