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UN-GO観てます。

會川さんてMですか?(爆)

つらつらと『明治開化 安吾捕物帳』を読んでいる最中なんですが。
インタビューなどですでに、『安吾捕物帳』からは骨格だけを借りるとは聞いていたのでどの程度まで原作に沿っているのかと思ったら。ホントに骨格だけだったよっ。

結城新十郎 原作:結城新十郎 洋行帰りの紳士探偵
因果 原作:花廼屋因果 探偵マニアの戯作者
虎山泉 原作:泉山虎之介 勝海舟を師と仰ぐ推理マニアの剣術使い
海勝麟六 原作:勝海舟 氷川で隠居暮らし
海勝梨江 原作:加納梨江 最初の被害者の娘
速水星玄 原作:速水星玄 警視総監

第1話「舞踏会の殺人」 原案「舞踏会殺人事件」との相似点
背中に刃物を刺されて殺された。
被害者と加害者の関係。
  
第2話「無情のうた」 原案「ああ無情」との相似点
死体がトランク(原作は行李)に入っている。
冒頭の死体を運ぶ男女のミスリード。
  
殺人事件が起きましたっ。その死体の状況はこんなですっ。 って処が同じというだけで。
犯行方法も動機も場合によっては犯人までもがまったく違う。
一から十まで全部、會川さんが考え直してるよ。

つまりさ。
そもそも原作は二重構造になっていて。
まず勝海舟が安楽椅子探偵(Armchair Detective 現場に赴かず、与えられた情報のみで謎を解く探偵)として謎を解き、実際に捜査に及んだ新十郎がそれを覆し真相に辿り着く、という流れなのだけど。
そこをさらに會川さんがひっくり返して新しい真相に辿り着く、という手法を取っている。

しかも「UN-GO」の中でも、海勝麟六が安楽椅子探偵として謎を解きさらに新十郎が覆す、二重構造を取っていて。

同じ死体の状況から、計4つの推理が述べられる事になるっていう寸法。
メタというとちょっと違うが、なんとも奇妙な造り。

目の前に犯行方法のテキストが転がってるっていうのに、全部自分で一から組み立て直し。
自分から苦労を背負い込んでりゃ、M? って聞きたくもなるってもので。ていうか好きだよなぁ茨道。
さすがは原作クラッシャー會川。面目躍如というべきか(笑)。

でも面白い仕上がりになっている。
特徴的なのは1話も2話も小説では出来ない、視覚・聴覚を謎解きの切り口に仕立てている事。これが無ければアニメ化する意味がない。
ならばそろそろ次辺りは「アニメ」だからという切り口も欲しい処。

また1話はミステリファンならおそらくニヤリとした人も多いはず。「見えない人」というロジックのお手本のようなテクストをもって来ているのもまた好印象。さらにそれを最後にひっくり返す手腕もお見事。
「見えない人」と言えばG・K・チェスタトン。

會川さんは安吾でチェスタトンをやりたいんだろか? 1話を観てそう思っていたら。
『明治開化 安吾捕物帳』(角川文庫)の解説に、本作品により安吾文学は通俗化したと言われる向きがあったが安吾の死後花田清輝により「予期したとおり、チェスタートン風のモラリストらしい哲学や残酷なユーモアがあったばかりではなく、まったく予期しなかった、転形期の日本のすさまじいすがたがあった。」と評されたとあり笑った。
  
會川さんは安吾でチェスタトンをやりたいのではなく、安吾と同じ土俵に立ってサシで勝負するつもりなんじゃないのかしらん?(笑)

鋼の時も原作に対し「いやそれって違くね?」と思った結果がああなったわけだから、安吾もまた同じなのかねぇ。
なんともこれからが楽しみだ。

また、「UN-GO」も時代が戦後であるということ。
犯人が戦後という時代そのものに傷つけられた人達だということ(今の処)。
その辺りのシニカルな視線からも何某か話を起こすつもりなのかしらん?
  
ミステリマガジン1月号12月号には會川さんのインタビューが掲載される。インタビュアーは日下三蔵さん。氏の引き出しの多さはちょっとすごいのよっ。何が飛び出てくるやら併せてこちらも楽しみ。
  
  
  
  
  
  

  
けど。
本格ミステリとして面白いということは、つまり本格ミステリを多少なりとも齧っていないと面白くないということで。
こうやって原作と比較して初めて分かる面白さや、本格ミステリのセオリーを知っているからこそ分かる楽しさなどは、本格ミステリを知らない人間からすればまったくなんのこっちゃ、なわけで。
   
かといって今の処萌えは見当たらない。全てのノイタミナ作品に萌えがあったわけじゃないが。
いっそ原作通りの新十郎・因果を美形コンビにした方がお姉さま方の受けは良かったのでは?
あのギアス設定(爆)も本当に必要だったのか今の処謎だし。

また、まがりなりにも會川さんの趣向が分かっているから楽しめる処もあり。
もともとの安吾ファン、『明治開化 安吾捕物帳』の読者はコレを観てどう思うのか。
原作をぶち壊しやがって、とまぁいつものごとく思われているんじゃなかろうか。

果たしてエンタメとして面白がって貰えているんだろか? そう思わなくも無い。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
対して、今期ドラマ化された本格ミステリ「謎解きはディナーのあとで」。
1話だけ観たけど。確かに原作通りなのに原作通りなのに、なんでこんなに詰まらないんだ? 
テンポ悪すぎ。構成悪すぎ。
原作は普通にいつもの東川節で面白いのにっ。

櫻井翔の出番を増やすため影山が安楽椅子探偵じゃなくなっている時点でうんざりしたが。
ユーモアミステリでありながら笑い処がすべて滑って(いや洒落じゃなくてだね)しまっていればもう苦笑するしかない。
水垂冴子や覆面作家、福家警部のドラマ化を観た時の苦い記憶がよみがえるというか。
でもなんともきらびやかで見栄えはエンタメしている。櫻井と北川景子目当てで見る人は見るんだろうなぁ。
1話で切って捨てたけど。原作だけで充分だわ。

エンタメ要素が薄く原作とはまるで違うけど面白い作品と、エンタメ作品「らしさ」を放つが原作通りなのに作りが面白くない作品と、果たしてどちらが原作にとって幸せなんだろうねぇ。

追記
後日、「謎解きはディナーのあとで」の2話を後半だけ視聴したら、今度は原作を大きく改変。
実は容疑者はみんな共犯でした、なんていうミステリにあるまじきトンデモ設定になっていた。
クリスティの某作は、だからこそ互いにアリバイを補完しあいそれが生きるラストになっているわけで。
何? これ。やってられんわ。

追記2
ミステリマガジン12月号に掲載予定だった、會川氏のイタンビュー記事は1月号に移行。脚本も掲載されるらしいですね。

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コメント

こちらでは、お久しぶりです♪

本格ミステリはそんなに読んでおりませんよー。
特に古典と呼ばれる海外作品は、読んだ物もあるはずですが記憶ゼロです。

でも、まあ、知ってるうちに入るのかなぁ…。
とてもりほさんの知識には追いつかないと思うけども
ミステリにおけるパターンは、ある程度知ってるからなぁ。
標準のレベルがわかりませんw

とりあえず安吾の原作と読み比べて
「架空の戦後」という社会派的な背景の中、
換骨奪胎、どのように理解・分解・再構築されたのか
そのヒネリの部分を非常に楽しんでおります。

安吾の原作は、
地の文の視点に作者の視点がまざったりするし
文体的にも、ラノベしか読んだことのない人には読みにくいでしょう。

そういう人たちが、
どういう感覚で楽しんでいるのかは
気になります。

謎解きはディナーのあと、
小説は、本屋大賞になるほど面白いかなぁと思ったけれど、
ドラマはひどいね。
カメラワークもギャグ漫画的でイライラするし、
演技力のせいか、演出もコントみたいになっているし、
1話で見るの止めました。

私も感想Blogで書こうかなぁ。>UN-GO
ちなみに因果ちゃんは萌えキャラですよw

>真朱さま
お久しぶりです。先日はありがとうございましたっ。

>そのヒネリの部分を非常に楽しんでおります。

「映画秘宝」のインタビューで會川さんが、「舞踏会殺人事件」も「魔教の怪」も実際にあった事件を元に描かれたものである。だから「UN-GO」もまたそれに倣った作りになっている。というような事を答えられていましたよね。

だからこそ。あそこまで原作からかけ離れた世界観でありながら、常に「安吾捕物帖」の隣りにあるような、そんな作りに感じるのでしょうね。

どちらも、「この世界は間違っている」と口角泡を飛ばすのではなく、それを滑稽さに置き換え知らぬそぶりでチクリと風刺するその粋さが、多分私は好きなんだろうなぁ。


>文体的にも、ラノベしか読んだことのない人には読みにくいでしょう。

あ、でも。シリーズ名がタで始まる某BL小説は視点が一人称だったり三人称だったりぐるぐるしていて、面喰ったんですが。マンガに慣れていると逆に気にならなかったりするかもしれませんよ。
まあその前にページ下方の空白の少なさに逃げるか(笑)
  

東川作品の面白さは、バカミス一歩手前のバカバカしさに翻弄されている間に、気がつけば綺麗に謎が解かれ目の前に提示されるド直球ストレートの本格ミステリである処なんです。
それが見事に台無しですよっ。
作者本人も観ていないそうです(笑)


真朱さんも感想書きましょうよー。お待ちしてますっ。
  
そっか、因果は萌えキャラですか。
私の萌えは風守かなぁ。ひんぬーは神だそうですから(爆)
「オレを喜ばせる必要なんかない」と言われて「まぁそれもそうなんですが」と答えるツンな処がかーいかったっ。

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