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UN-GO と虚構世界

メタミステリ、メタフィクションと言う言葉がある。
メタとは「高次の」などの意味を持つ。
話中話。
物語の中に物語世界が存在する入れ子状態の物語を指す。

以降因果論にちょっと抵触しています。ご注意を。


新十郎も麟六も、安吾の書いたエッセイの中の言葉を吐く。
それらは台詞としてはかなり浮いている。
彼ら自身の腹の中から吐きだした言葉というより、詩を暗唱しているようなそんな印象だ。
「ドラマ11月号」に掲載の脚本にも「何かを読むように呟く新十郎」とある。

大野妙心の事件の謎を解いた彼に「結城新十郎」と言う名前を与えたのは海勝麟六だ。
「UN-GO」の世界には、「明治開化 安吾捕物帖」の探偵と同姓同名の「結城新十郎」という名前の探偵は元々存在しなかった。
「結城新十郎」という探偵が生まれたのは海勝麟六による作為だ。

この2点を見る限りでは。
まるで「UN-GO」の世界にも60年以上昔に坂口安吾がいて「明治開化 安吾捕物帖」という小説や「堕落論」「余はベンメイす」などのエッセイが存在しているように思える。

麟六は過去に「明治開化 安吾捕物帖」を読んだことがあった。それゆえ名前を失った彼に「結城新十郎」という名前を与え。
それをきっかけに新十郎は坂口安吾の作品を読みエッセイなどの言葉を引用するようになった。
そんな風にも受け取れる。


別に物語世界に実在それ本が登場すること事事態はおかしくない。
実際、涼宮ハルヒでも文芸部の本棚に並んでいたのは全て実在する本だし。
バクマンでもジャンプ系コミックスが並んでいる。登場人物はジャンプ掲載作品について語り登場する編集者が実在の編集者がモデルになっている。「あしたのジョー」の台詞を空んじるシーンもあった。


「UN-GO」という作品は「明治開化 安吾捕物帖」の「中」の登場人物が原案になっている。つまり「明治開化 安吾捕物帖」から生み出されたのが「UN-GO」だ。
しかし上記のように受け取ってしまうと。
「UN-GO」の登場人物は「明治開化 安吾捕物帖」より「上位」の世界に存在する事になる。

言わば本の中の人物が、自らその本を手に取り読んでいるようなものだ。


私達現実世界から見れば「明治開化 安吾捕物帖」も「UN-GO」もどちらも並列した虚構世界の物語だが。
新十郎の目から見ると「明治開化 安吾捕物帖」は虚構世界であり、「UN-GO」は現実世界。
「明治開化 安吾捕物帖」は話中話だ。
なのに、虚構世界に登場した事件や人物が、小説から抜け出して彼らの現実世界に登場しているようなものだ。

「UN-GO」の世界の登場人物にとって、「明治開化 安吾捕物帖」のような事件達は本当に現実に存在していたのだろうか?
もしかしたらどの事件もどの登場人物も、「誰か(結城新十郎を配置した麟六か?)」が描き別天王が生み出したまぼろしでしかないんじゃないのか?
もしかしたら「戦争が存在した」という事実さえ別天王によって思い込まされているだけなんじゃないのか?
  
そう考えると。
毎回冒頭に入る「本作品は戦後無頼派を代表する坂口安吾が今から60年以上前に発表した~」という文章。
あれは本当に、ドラマの終りに入る「この物語はフィクションであり~」のようなテロップ的な意味合いでしかないのだろうか。

「UN-GO」の世界に虚構世界を持ち込んだ、神の視点持つ「誰か」の言葉なんじゃないのか。


アリスのような、胡蝶の夢のような。
このメタな感じがたまらないっ。

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