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水島監督 業界セミナー

代々木アニメーション学院の業界セミナーに行ってきました。
今回のゲストは水島監督ということで、とっても面白かったですよ。

業界セミナー 2012/01/21 09:41

水島監督って、アーティストとは思えないや。すごいビジネスライクな内容になってた(笑)。
これはアニメーターより会社人間の方が聞いていて面白いんじゃね?
ビジネス書出したら充分売れるよ、この人の考え方って。いや、まじで上司に欲しいと思ってしまいました。

Ustreamの動画がいつまで残っているのか分からないので、勿体ないから自分用にも、と思って頑張ってまとめようとしたんだけど。
半分も終わらなかったわ。続きはまた今度、そのうちに。


ノートをとるな 水島精二についてチェックしておきたい5つのポイント

その1■ツクル
Q
作品製作にあたり特に何を重視していますか?(代アニ在学生)
A
人間関係。現場。
何を大切にするかは、かかわる作品ごとに変わって来る。
それを作品として昇華させるためには、一緒にかかわるチームが、その作品をなるべく変化なく届ける事が出来るよう精度を保つ必要がある。
それを保つ為にはどういう人がこの作品に関わるのか把握しなければならない。

スタッフにどういう人間がいるのか、どういう人と組んだらいい形で市場に出るかを考える。

自分が持っている個人のテーマは作品の方向性によってあてはめられたり、あてはめられなかったりするので、作品と向き合うという意味でいうとそこが一番にはならない。

自分はオファーを受ける立場の人間なので、オファーする側が自分に何を求めているかを考え、自分が考えている事をそこに乗せ、この作品を一番正しい形で世の中に投じる為に必要なスタッフは誰なのか。現場の中でどういう風に自分が伝えれば成功するか。ちゃんと伝わるか。を大事にする

「自分はこういうのしか出来ません」という風にやるとずっと同じジャンルを作り続けることになる。その場合、新しい作品ごとに新しい要素が提示されているか、それが再生産にしか自分には観えない時。
では自分がそのジャンルをやって彼以上のものが出来るかと思ったらそうは思えない。
その上で周りが「水島にやってもらいたい」と思ってくれるなら、自分が何を求められているのかをその人からきちんと引き出して、「じゃあ僕はこの作品にこういう要素をいれたい」という提案をして折り合えば仕事は成立する。
「原作ものを原作通り作ってください」と言われたならそれは出来る。

昔シャーマンキングで改変を散々言われたが、ジャンフェス用に原作のコマ通り再現したショートフィルムを作り原作者に怒られた。
「アニメーターが新しい絵を工夫して見せてくれてずっと楽しかったのに、何でジャンフェス用のは、僕の嫌いな(自分の)あの絵でやるんですか」と言われた。
けれど「原作通りとはこういうことだ」と言われているファンもいるので難しい。


ひとつの原作があり、5人ぐらいの監督候補がいるとした場合、水島精二だったらこういうことができると、自信をもって言える自分らしい作品づくりとは何か。

原作にもよる。
シャーマンキングは、原作通りのつもりで構成を用意したら「それはやめてくれ」と言われた。当時アンケートの成績がおちかけていて起爆剤になることを求められた。
カードゲーム開発と連動するため、バトル展開を伸ばし若年齢層を取り込めるような作り方を求められた。
そういった色々な要素の結果、原作から離れる判断をしなければいけない状態だった。

お金を出す側がその作品に対して求めている要素はやらなければならない。やらないと頼まれてる意味が無い

その要素と作品を両立する形でどういうことが出来るかはすごく考える。
キャラクターの扱い。映像的な見栄え。
カードゲームの開発の人とも打ち合わせしキーになるカードの連動にも力を割いた。
何を求められているかを真摯に聞く。

どんなに熱望していても他の人がぽろっとアニメ化することも多い。
そうすると原作買うのはやめてしまう。読んでいてせつなくなるので。

「おお振り」は「やりたいなぁ」と言っていて、実際に「やりますか」というムードが盛り上がっていたが「今すぐは無理」と言っていたら、「やりますか」と言っていた当の大山Pがもうひとりの水島監督とアニメ化した。
「のだめ」も自分ならどうオーケストラの音をどう表現するかシミュレーションしたりしていたが、ぽろっと自分以外の監督でアニメ化が決まってしまった。

「この作品をやりたい」と言っといてもそうそう巡り合うことはない。
どの監督もそれは同じ。
言っていたらきたのがシャーマンキング。
 
 
 
Q
理想のアニメ製作集団像を教えてください(代アニ生)
A
妥協しないチームが理想。
個人の技量技術ではなく、この作品にとって一番いいものは何かきちんと探求できる、志がきちっと同じ方向を向いていて時間を有効に使えればもっといい作品が作れる。
結果少数精鋭になってしまうのでジレンマはある。
その為、00では成功した方法として「勢い」を大事にし、ランナーズハイ状態を意図的に早目に作りだした。

まず自分が無茶だと思っても先頭きってやれるだけのことはやり、最初から「こいつのだった通せる」と思う人間を近辺に配置。
そういうフォーメーションをはやめに組んでおく。
そうすることで全部監督がやっているものと周りは思ってくれる。

そうやって周りの気持ちをあげ、個々のポテンシャルを最大限にあげる。
やってるという実感がプラスに働く空気作りを頑張る。
批判的なことは基本的に言わないようにする。
良い処をまず評価する。そのうえで「ここはこういう理由で変えて貰えませんか」と監督から「お願い」する。

そういう言い方であれば聞く側もまんざらでもない。
監督が上でなくていい。スタッフと同列か一番下でいい という感覚でやらないといけない。
その修正の結果良くなったことをきちっと分かって貰えるリアクションをこちらもしなければならない。

映像を想像し、その結果修正する必要があることきちんと相手につたえなければならない。それに対する失敗は演出家チームが責任をとる、という形をとる。
それによってその部分はスタッフの信頼を得られたし、多少作画に無茶な事をやっても受け止めて貰え、さらに彼らのやったものを良くすることが出来た。


自分もフリーだから監督に絵コンテを直されればムカつく。
良くなっていれば「ちっ」と思うが、自分が思っているよりダメにされると「こいつの仕事は二度やらない」と思う。

過去の自分の経験からも、監督が「こうじゃない」と思ったとしても、こちらの意図をくんでくれる人はやっぱり「この人の為にじゃあなんかしよう」という気持ちになる。
ストレスを相手に感じさせないようしなければと思う。
 
とはいえ、相手を甘やかせるだけではどうにもならないので、作品のトップとして「このクオリティーではダメ」と分かりやすく現場に伝えることもある。
全員がいる前に言う事もあるし、個別にスタッフを呼んで懇々と話すこともある。必ず具体的に説明して指摘する。
コミュニケーションは怠らない。

それでも最近スタッフとの年齢差が開いてきて構えられ、こちらは軽く言ったつもりが相手にひどく響いて追いつめてしまったことがある。
軽く言うと伝わらないし、困ったな、と思う事もある。
 
神様と思って貰える存在までいっていればみんな素直になってくれるのだろうけれど、神様ではないから面倒くさい。
神様と思って貰えるような個性的な仕事が出来ればいいと、とは思う。
 
「それってどういうことなんですか?」 と簡単に聞きにこれるムードをかもしだしたいが方法は分かっていない。日々格闘中。

カリスマになれないからそういうやり方を自分は取っている。
カリスマ監督には憧れる、幾原監督や庵野監督はすごいと思う。庵野監督は自分にとってアイドル。

当時庵野監督の下で仕事をした頃して貰った事から学んだことは多い。
だから庵野監督には庵野組みたいなスタッフがいる。
 
 
 
Q
潤沢な予算があり、視聴率DVD売上も関係ないとしたら、どんなアニメ、どんな話を作ってみたいですか?
A
誰と仕事をしたいかになる。
すごい人を引っ張ってくる方にお金をかける。その人が自分の言う事を聞くか別次元の悩むが出る。
予算やDVDの売上に心砕いて縛られているかというとそうでもない。

UN-GOは、売れる要素と作品の本質を秤にかけて本質の方を取っている。
あざとく売れる要素を入れる事も出来る。
同時期のギルティ・クラウンがメジャー枠であり、UN-GOは実験枠という棲み分けが出来ていた。そこにそういった要素を入れると差別化ができなくなってしまう。
そこ以外の制限というと、結果お金がかかったということはあったとしても、予算があったとしても変わらないように思う。

作品の本質と売上を真剣に考えるような仕事が最近増えてきた。
作品の本質を表現すれば売り上げが伸びるという理想論はある。
最終的にそこへ辿り着く為のベストのバランスを模索し続ける必要はある。
なかなかそこに到達できないから、また次の機会にムキになれる。
出来てしまったらもういいやと思ってしまうかもしれない。
 
 
 
Q
アニメを作る際に原作の難しさオリジナルの難しさは何ですか(Ustreamから)
A
原作通りかアニメにすることを生かすか、オーダーによって違ってくるし、アニメ化を生かす為に求められる形も様々。
商品展開が求められるケースや、原作では求められないファン層をアニメでは求められるケースがある。
原作クラッシャーと言われているけれど、好んでやっているわけではない。
オファーに盛り込まれていることがある。ただ自分が関わるとそういう匂いがする自覚もしている。

原作ファンに原作テイストを残してないと思われても、新しいファン層が付き、いい数字が出れば成功かもしれないし、原作者や現場からまた依頼がくれば成功なのかもしれない。
オリジナルは足がかりになるものがないのでそれはそれで難しい。

原作通りが一番楽かもしれない。

オリジナルは先が見えないから配分等が難しい。
うまくやれている監督などいないのではないか。
テレビシリーズは途中で気が付けば他の話数でリカバー出来る。
映画は一発勝負だから難しい。
オリジナルで映画で一本勝負なのが一番怖い。
細川監督はすごいと思う。
映画の見た目の雰囲気は変えないのが保険になっている。ジブリシステムと同じ。


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